東レは3月25日、ガラス並の硬度を有し、屈曲半径1mmの折り曲げに耐える透明アラミドフィルムを開発したと発表した。
同開発品は、フレキシブルディスプレイ用光学フィルムや透明回路基板などの幅広い分野への適用が期待される。既にパイロットスケールでの技術確立が完了し、今後、量産化に向けた検討を進めていく。
近年、折り畳みや巻き取りが可能なディスプレイの開発が進んでおり、ディスプレイ最表層のカバーウィンドウには、従来のガラスに代わる素材として、高い硬度と耐屈曲性を持ったフィルムが求められている。
アラミドは優れた剛性と耐熱性を有するスーパーエンジニアリングプラスチックであり、東レはアラミドフィルムミクトロンを世界で唯一商業化しており、この技術を基に、独自のポリマー設計と製膜技術により、高剛性、高耐熱性で無色透明となるアラミドフィルムを開発した。
さらに、この透明アラミドフィルムへ専用設計の表面加工を施すことにより、硬度9Hの超高硬度と、屈曲半径1mmで100万回以上の折り曲げに耐える耐屈曲性の両立を実現した。同開発品をカバーウィンドウに使用することで、ガラス同等の傷つきにくさを有しながら、薄く、よりデザイン性の高いフレキシブルディスプレイの実現が期待できる。
同社は独自のポリマー設計技術により、剛性と耐熱性は維持しつつ、無色透明となるアラミドポリマーの開発をしただけでなく、溶液製膜技術の深化により、アラミドの特性を極限まで引き出す事に成功、透明フィルムで世界最高レベルのヤング率10GPa、熱膨張係数5ppm/K以下となる高剛性と高耐熱性を実現した。
さらに同社は透明アラミドフィルム専用コート層を開発。このコート層は高硬度ナノ粒子と高分子分散剤を組み合わせた有機無機ハイブリッド層。高剛性で変形しにくいアラミドフィルム上にナノ粒子を緻密充填・均質配列することにより超高硬度化を実現し、アラミドフィルムと分散剤間の親和性を制御することで耐屈曲性を両立した。