三井化学は3月19日、このほど日本化学会より平成30年度日本化学会の「化学技術賞」を受賞し、同月17日に表彰を受けたと発表した。
化学技術賞は、日本の化学工業技術に関して、創造性と成果が特に顕著な者に対して授与されるもの。
今回の受賞は、同社が持つ独自の触媒・合成技術を活用したポリオレフィンとシリコーンが結合した新型ブロックポリマー「イクスフォーラ」の製造技術開発が成功したことと、同製品をポリオレフィン表面改質剤として、製造販売元である三井化学ファインが用途・顧客開拓し実用化に至ったことの2点が評価された。
受賞者は生産技術研究所の主席研究員である岡部晃博氏と朝重直樹氏、機能材料研究所主席研究員の永井直氏、生産技術研究所主席研究員の松浦貞彦氏、三井ケミカルアメリカの原田保氏の5名。
同製品は、ポリオレフィン材料の成形時に少量添加することで、製品の表面にシリコーン樹脂特有の特長(離型性、撥水・撥油性、耐摩耗性)を付与することが可能で、従来のシリコーン系改質剤に見られる、ブリードアウト、ポリオレフィン材料との非相溶性、成型性の低下などの課題を解決することを特徴としている。
これにより、食品残りが少ない包材・ボトル等に採用され、フードロス削減に貢献するだけでなく、液晶パネルに使用される光学フィルムや住宅建材などの保護フィルム、汚れが落ちやすいシートなどに採用されている。
同社は同製品を用いて、広く社会に貢献すべく、ヘルスケア分野を中心に用途開発を加速していくとしている。