住友理工は4月2日、中国・上海の展示会場「上海国家会展中心」で4月16日から開催される「上海モーターショー2019」に出展すると発表した。同社グループが同展示会に単独で出展するのは2回目。
同社は出展の理由として、昨年の新車販売台数が2800万台に上る世界最大の自動車市場・中国では、新エネルギー車(NEV)への需要の高まりや同国における昨年のNEV販売台数は約120万台と前年同期比で約6割も増加していること。さらに、現在は新車販売台数の数パーセントにとどまるNEVも、補助金制度やNEV規制の追い風を受けて、2030年には3割を超えるという見通しもあり、この分野でも世界的に極めて重要な市場になると予測されていることを挙げている。
同社は「電動車向けモーターマウント」や放熱する防音材「MIF」、「SR(スマートラバー)センサ」を中心に、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)などのNEV向け製品をはじめ、環境規制に対応した製品、未来のクルマの快適性や安全性に貢献する先進技術など、幅広い製品ラインアップを紹介する。
電動車向けモーターマウントは、モーターを支持しながら、エンジンとは違う高周波領域のモーター振動とそれに伴う不快な騒音を低減し、走行時の乗り心地の向上を果たすもの。同社グループはこれまでに、モーターを使用するEVやPHV・PHEV、FCVなどNEV向けに、モーターマウントを供給しており、日本や中国、欧米でも採用実績があり、大衆車から高級車まで幅広く使用されている。
MIFは、世界初の放熱する防音スポンジ(発泡ウレタン)。熱伝導粒子を入れたウレタンを磁界中で発泡成形することで粒子がつながり、熱の通り道を形成。これにより一般的な発泡ウレタンの20~100倍もの効率的な放熱性能を実現する。熱を発する電子部品の多いEVやPHVなどの電動車、車載電装機器などに使用することで、騒音や熱対策に貢献する。
SRセンサは、同社独自開発のすべてゴムでできたセンサーで、運転手の心拍や呼吸などの生体情報(バイタルデータ)を検知する。同社が開発を進めている、検知したバイタルデータから疲労や居眠り、急病予兆などドライバーの状態を推定し、警告や運転支援システムの作動、外部への通報などのサービスを行う「ドライバーモニタリングシステム」での活用を目指している。
同展示会では、同製品が内蔵された、座るだけでバイタルデータを検知する特別なイスを出品し、来場者が体験が可能。
同社グループは世界5極での開発・生産体制を強みにグローバル拡販を推進しており、中期経営ビジョン「2022年 住友理工グループ Vision」では、最終年度である22年度における自動車分野の売上目標4300億円のうち、4分の1を海外顧客向けの売上で占める計画を立てている。
世界最大の自動車市場である中国は、同社グループにとっても最重要なエリアの一つと考えている。同国内12の生産・開発拠点、加えて4月に新設した中国自動車営業本部が一体となって、中国系自動車メーカーを中心に、同国内に拠点を持つ全ての自動車メーカーに向けて拡販活動を強力に進めていく。