住友化学は4月17日、このほど同社と米国のバイオ技術スタートアップ企業であるザイマージェン社が新しい高機能材料の開発に向けた複数年の業務提携に合意したと発表した。両社は、同提携を通じて先端産業において高度化する顧客のニーズに対応するための新規材料開発に取り組む。
ザイマージェン社は、AIやロボットによるオートメーションラボや最先端のゲノミクスが融合した技術基盤を有しており、生物学的手法を通じた持続可能で再生可能な新規化合物を創出することができる。
一方、住友化学はマーケットインのサプライチェーンの構築を通じて主要な電機メーカーに高品質なエレクトロニクス材料を供給している。
革新的技術を持つザイマージェン社と、高い素材開発力を有しエレクトロニクス分野におけるリーディングサプライヤーである住友化学が協力することで、価格競争力と優れた特性を備える高機能材料の開発が可能となる。
両社が開発を予定する高機能材料は、ディスプレイ用の光学フィルムや傷に強いハードコート材料、フレキシブル基板向け材料、接着剤などで、これらの新規材料は次世代の高機能製品を生み出すための一助となることが期待されている。
昨今、電子機器メーカーや消費者は、洗練されたディスプレイと新たな機能を備えた、小さくて軽くエネルギー効率に優れた安価なデバイスを求めており、その需要がますます高まっている。そのため、電子機器メーカーは、これらの次世代電子機器向けの新しい材料を探索しているが、材料開発にあたっては、コストや製造技術面から、従来の石油化学以外の手法も取り入れる必要が生じている。
住友化学の上田博副社長執行役員は、「当社の化学技術とザイマージェン社が得意とする生物学ならではの多様な分子への専門知識を組み合わせることで、顧客のニーズを満足する高性能な材料開発が可能になると考えている。すなわち、分子生物学を通じて、従来の手法では不可能だった、信頼性が高く、費用対効果に優れた性能をお客さまへ提供することができる」としている。
同社とザイマージェン社は、エレクトロニクス分野にとどまらず、様々な産業分野において「不可能を可能にする」高機能材料の開発を進めていくことにしている。