搬送ベルトは資源開発、製鉄、発電といった重厚長大産業から、食品や物流、薬品にいたるまで、多種多様な分野の搬送システムを担っている。そのなかで、ベルト商社はユーザーのニーズや動向を的確に把握しながら、商品発掘につなげることで業界発展に努めてきた。
特に、近年は製品の企画・開発段階から主体的に関わるケースが増えており、ベルト商社が求められる役割も一段と高度化している。
そこで弊紙では、搬送ベルト商社の現況を知るべく、売上や製品の価格動向など尋ねるアンケートを実施した。
まず、18年7~12月の売上実績(対前年同期比)の問いでは、すべての企業が「やや上昇」と回答した。昨年11月に実施した前回調査によれば、売上実績(18年1~6月)が「やや上昇」と回答した企業は半数だったことから、18年下半期の売上はさらに伸びたと見られる。
また、19年1~6月の売上予想(同)についても、全ての企業が「やや上昇」と回答し、19年上半期も売上は堅調に推移するとみている。
一方、ベルト製品の価格動向に関する問いでは、昨年7~12月の実績(同)は「横ばい」が全数を占めたのに対し、1~6月の予想(同)は「横ばい」が75%、「やや上昇」が25%という結果となっている。
製品価格を取り巻く環境に関しては、ゴム・樹脂とも原材料価格だけでなく、副資材費、物流費も上昇している。
とりわけ、ドライバー不足を背景に、運送業界からの運賃値上げ要請が続いていることから、物流費については今後も上昇する可能性が高い。上昇する物流費への対応はベルト業界全体の課題といえそうだ。
さらに、貴社の19年のベルトの売上予想(対前年比)の問いでは、「上昇」が25%、「やや上昇」が75%の結果となり、いずれも前年を上回ると予想している。
なお、日本ベルト工業会によれば、2019年1~3月期累計のベルト生産量(コンベヤと伝動ベルト合計)は6302tで前年同期比2%減。このうち、コンベヤは3526tで横ばい、伝動ベルトは2776tで同6%減となった。
コンベヤの内需と輸出を見ると、内需は2593tで同10%増、輸出は933tで同19%減となった。内需については、インフラ整備や災害復旧・五輪特需などでセメントや砕石などの需要が伸びていることが内需の増加に寄与したものと思われる。
また、樹脂ベルトの19年1~3月期累計の生産量は34万4333㎡で同9%増。樹脂ベルトの主要業界である物流・食品業界では「省人・省力化の動きが顕著」(ベルト商社)なことから、物流や食品向けの搬送ベルトの需要は安定している。 こうしたことも19年の売上が「伸長」「やや伸長する」と回答した理由となっているようだ。
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