国内タイヤ4社の海外生産が着実な広がりを見せている。タイヤ4社の海外生産比率をみると、ブリヂストンは7割超、住友ゴムは6割、横浜ゴム(単体)は5割、TOYO TIREは4割強となった。各社は市場に近い地域で生産する「グローバル最適地生産」の確立を目指し、製品供給の迅速化を進め、海外での競争力強化を図っていることがわかる。
4社の17年末と18年末の海外生産比率を比較すると、ブリヂストンは75%から74%、住友ゴムは58%から59%、横浜ゴムは52%から51%、TOYO TIREは45・6%から46・1%となった。
ブリヂストンは昨年7月に米国イリノイ州のブルーミントン工場で、2020年中をめどに建設・鉱山車両用タイヤの生産能力を増強し、新たに3つのサイズを製造すると発表した。同グループにおいて、29インチ・33インチ・35インチの中小型建設・鉱山車両用タイヤを製造する初の海外工場となる。
米州以外では、欧州、中国、東南アジアの各地域でも生産能力の強化を継続している。中でも欧州では鉱山用や航空機用、トラック、ハイエンドの乗用車用に力を入れている。
中期計画で欧米事業の拡大を掲げる住友ゴムは、欧州では2015年に新設されたトルコ工場で段階的な能増を進めており、18年9月の日産1万6000本から2020年には日産3万本へ増強する方針。また、ドイツにある欧州テクニカルセンターでは、欧州カーメーカーへのアプローチ強化や開発リードタイムの短縮などによる商品開発体制の強化に取り組んでいる。
米国では、需要が旺盛なSUV用タイヤを中心に増産投資を実施。さらに、市販用タイヤ開発の設計業務を日本から米国テクニカルセンターに移管し2020年から新車用タイヤ開発の開始を予定している。
横浜ゴムは中期経営計画「GD2020」において、タイヤ消費財事業では「プレミアムタイヤ市場における存在感のさらなる向上」タイヤ生産財事業では「オフハイウエイタイヤ(OHT)を成長ドライバーとして次の100年の収益の柱へ」を成長戦略に挙げている。
このうち、タイヤ生産財事業では、好調なOHT販売を背景に、2016年に買収したアライアンスタイヤグループ(ATG)のインドダヘジ工場の生産能力を今年末までに従来比1・6倍まで増強する。
TOYO TIREも国内・海外の各工場で生産能力の増強を進めており、2017年に策定した新中期経営計画では、北米市場の製品力強化と増販に向けた体制強化やブランド力の向上と効率的な供給体制の構築などを事業戦略として掲げている。
生産能力の増強に向けた取り組みでは、北米工場において第5期能力増強の着手を開始し、今年4月の生産を開始に向け、2018年2月より新工場棟の建設を着工した。増強内容は第1段階として、年産120万本としている。
また、マレーシア工場では第2期能力増強にも着手した。こちらは今年10月の生産開始に向け、18年8月より新工場棟の建設を開始し、増強内容は第1段階として、年240万本を計画している。