収益は原料高、為替差損で明暗
タイヤ4社の四半期連結決算が発表された。ブリヂストン、住友ゴム工業は12月期第3四半期、横浜ゴムは12月期第2四半期(変則)、東洋ゴム工業は3月期第2四半期業績であるが、各社とも震災の影響を受け、国内新車用タイヤ販売は低迷したものの、国内市販用が順調に伸びたほか輸出用も新興国向けを中心に旺盛な需要が続き、4社とも増収となった。しかしながら、収益面は原材料高、急激な円高などによる為替差損が響き、明暗が分かれた。
〈ブリヂストン〉
2011年12月期第3四半期の売上高は2兆2344億 3300万円、前年同期比6・8%増、営業利益1433億9900万円、同26・4%増、経常 利益1298億 6600万円、同28・7%増の増収増益となった。四半期純利益は819億5200万円で同22・8%増。 営業利益における増益要因は、減価償却費(10億円)、戦略商品(190億円)、売値・MIX・数量他(2429億円)。一方、減益要因は為替差損(280億円)、原材料高(1920億円)、販管費増(130億円)があり、差し引き299億円の増益。 売上高においては、為替差損で1460億円が減収要因となったが、売値・MIX・数量他で2891億円が増収要因となり、カバーした。 国内景気は東日本大震災の影響により厳しい状況が続いたが、持ち直しの動きも見られた。海外景気は米国は緩やかに回復し、欧州は持ち直しの動きが見られていたものの米国、欧州ともにその動きに弱まりが見え始めた。アジアは中国やインドをはじめとして景気の回復や拡大が見られた。 タイヤ事業の売上高は1兆8701億円、同8%増、営業利益1360億円、同31%増。多角化部門の売上高は3747億円、同2%増、営業利益は国内事業における利益減などの影響により73億円、同22%減となった。
〈横浜ゴム〉
決算期変更により、2011年度は9ヵ月の変則決算。2011年12月期第2四半期の売上高は2582億2000万円で、11年3月期第2四半期連結決算との対比で前年同期比8・4%増の増収となったが、営業利益は75億8500万円、同8・3%減、経常利益26億3300万円、同26・1%減の減益となった。四半期純利益は2億9400万円で同75・7%減となった。 経常利益段階では、原料価格高騰(198億円)、為替差損など(20億円)、販管費増(20億円)などが減益要因となり、数量・ミックス(89億円)、値上げ効果(127億円)などが増益に働いたが、減益要因をカバーできず減益。 タイヤ事業の売上高は2046億5600万円、同10・7%増、営業利益は59億7800万円、同2・0%減。東日本大震災の影響で新車用が落ち込んだが、中古車販売の増加が国内市販用の需要を押し上げた。工業品事業の売上高は416億8400万円、同0・7%増、営業利益は4億5200万円、同71・2%減。その他の事業(航空部品、ゴルフ用品など)の売上高は118億7900万円、同1・2%減、営業利益は11億4800万円、同87・8%増となった。
〈住友ゴム工業〉
2011年12月期第3四半期の売上高は4675億8300万円、前年同期比10・1%増、営業利益293億7000万円、同2・5%増、経常利益264億7000万円、同4・6%増の増収増益。四半期純利益は137億3300万円で同2・2%減。 経常利益段階における増減要因は、原材料価格の高騰(410億円)、固定費増(14億円)、為替差損(17億円)、スポーツ(34億円)、産業品他(7億円)などが減益となったが、価格修正(306億円)、数量・構成(183億円)、直接原価(20億円)などが増益に寄与し、差し引き12億円の収益増となった。タイヤ事業の売上高は4063億3700万円、同13・6%増、営業 利益は273億6000 万円、同21・8%増。スポーツ事業の売上高は408億8000万円、同13・0%減、営業利益11億8700万円、同74・3%減。産業品他の売上高は203億6500万円、同1・9%増、営業利益8億1900万円、同46・9%減となった。
〈東洋ゴム工業〉
2012年3月期第2四半期の売上高は1478億4900万円、前年同期比3・1%増、営業利益は56億7800万円、同38・9%増、経常利益34億4300万円、同58・1%増の増収増益。四半期純利益は12億6900万円で同31・3%増となった。 タイヤ事業の売上高は北米市場が好調に推移し、同7・3%増の1116億4200万円、営業利益は同91・7%増の48億600万円。ダイバーテック事業は、自動車メーカーの減産の影響で自動車用部品や防水資材が減少、売上高は同7・8%減の361億9500万円、営業利益は同62・2%減の5億7900万円。