日本ゴム工業会 理事会の詳報

2011年11月16日

ゴムタイムス社

 ナフサ価格下落基調 資材関係事項

 〈原油、ナフサの動向〉
 原油価格は、本年4月まではエジプト、リビアでの政変を背景に上昇した。特にこれまで指標価格とされてきたWTIを上回って北海ブレント原油が上昇し、ドバイ原油の価格も北海ブレント価格に連れ、WTIを上回って上昇した。

 その後、5月以降は北アフリカ、中東情勢の膠着化から下落に転じ、その後も米国の債務問題、ギリシャなどの債務危機を契機としたEUの財政不安、あるいは先進国を中心とした今後の景気動向への懸念を反映して、下落傾向にある。  しかしながら、10月の月間平均値はWTIが84・0㌦、ドバイ原油は103・2㌦と昨年に比べれば高水準となっており、昨年の年平均価格と比較すると、ドバイ原油で28 ㌦、WTIでも15㌦上回っている。

 一方、国産ナフサ価格は4~6月が3期連続の上昇で5万9000円まで上昇したが、 オープンスペック価格は4月をピークに下落に転じており、10月(21日までの平均)は円換算で4万7900円まで下落した。7~9月の国産ナフサ価格も5万5000円に下落の見込みとなっている。  こうした状況下で、汎用石化製品は価格の下方修正の動きが報じられているが、汎用合成ゴムは原料ブタジエン価格の国際市況が夏場に高騰したことから、国内C4留分の価格に国際市況を反映させる動きが出ており、これを理由としてブタジエンを原料とする合成ゴムについて秋口以降値上げの打ち出しが行われている。

 〈天然ゴム価格の動向〉
 中国を中心とした需要の拡大、産地の天候の影響による供給不安から、2011年2月の月間平均値は、当限で514円、先限で499円と他の商品相場と比べて突出した 上昇。その後は、5月以降原油価格の下落傾向、景気の減速懸念から他の一次産品同様 、値を下げている。  10月の月間平均値でみると、当限が300円、先限が308円、市中相場が310円まで下がってきたが、昨年の年間平均との比較では、依然として当限で70円、先限で90円以上の高値となっている。

 〈合成ゴム等の主要原材料の出荷動向について〉
 塩ビ樹脂とカーボンブラックは9月、合成ゴムについては8月までの状況が出ている 。合成ゴムは7、8月と前年実績割れ、塩ビ樹脂については7月以降やはり前年実績割れの状況が続いているが、カーボンブラックは一般ゴム製品向けが好調であり、9月はプラス1%ながら、4ヵ月ぶりに前年実績を上回っている。 〈主要資材の価格動向〉  引き続き、全品目の指数が100を上回った。指数が一番高いのは天然ゴムの219 ・0で、以下C重油(164・0)、合成ゴム(156・4)、フタル酸系可塑剤(1 49・5)、塩ビ樹脂(144・6)、A重油(138・5)、カーボンブラック(1 34・2)、酸化チタン(128・7)、トルエン(119・0)、熱延薄板(113 ・9)、有機ゴム薬品(113・8)、冷延薄板(113・0)となった。前月比でみると、有機ゴム薬品がプラス5・1%、天然ゴムは0・5%増の2品目が上昇した。下落したのはA重油(2・6%減)、フタル酸系可塑剤(2・4%減)、合成ゴム(1・ 4%減)、トルエン(0・7%減)、冷延薄板(0・5%減)、熱延薄板(0・3%減 )の6品目で、残り4品目は横ばいとなった。  また、前年同月比では、C重油(30・4%増)、天然ゴム(29・1%増)、トルエン (24・1%増)、A重油(23・1%増)、合成ゴム(15・9%増)、塩ビ樹脂(12・9 %増)、延薄板(10・0%)、酸化チタン(8・8%増)、フタル酸系可塑剤(6・7 %増)、有機ゴム薬品(6・1%増)、カーボンブラック(5・3%増)、冷延薄板( 4・7%増)となり、全品目が上昇した。

 

 年末賞与、前年上回る 労務関係事項

 年末賞与・一時金の妥結状況について報告申し上げる。本年年末賞与・一時金交渉については、情報交換参加会員56社のうち24杜が春季労使交渉の際に夏冬型年間協定で年末分についても既に解決している。

 解決済み24杜のうち集計可能な21杜の妥結額平均(事務局試算)は、加重平均で69万5163円となり、同一企業における昨年(年末の妥結実積=67万4774円)と比べると2万389円、伸び率で3・02%の増(一社当たりの算術平均では58万5381円で、昨年年末比3万2435円、5・87%の増)と、昨年に続いて前年実績を上回る内容となった。

 業種別にみると、自動車タイヤ(4社)が71万4590円、昨年年末比1万6334 円、2・34%増、工業用品(12社)は66万3657円、同2万8136円、同4・43% 増、その他(5社)は63万7608円、同2万7842円、同4・57%増となっている 。また、21社の妥結額は30万円台から70万円台まで格差がみられ分散しているが、昨年年末比伸び率の分布をみると、マイナスとなっているのは4社のみで、8割に当たる企業(17社)がゼロ%(昨年実績)以上といった状況である。  日本経団連が10日13日に発表した主要業種・大手企業における本年年末賞与・一時金の妥結状況(第1回集計)をみると、調査対象(21業種・248社)の半数近くに当たる118社が既に妥結に至っているが、そのうち集計可能な87社の妥結額の総平均(加 重平均)は81万480円、昨年年末比で4・77%増と、昨年の第1回集計結果(集計対象92社の平均で77万6949円、前年年末比3・76%増)を額、率ともに上回り、日本ゴム工業会と同様に2年続けての前年比プラスとなっている。業種別に妥結状況をみると、大半の業種が昨年実績を上回っているが、特に機械金属 (3社)の19・47%増と電機(6社)の16・88%増が2ケタの大幅増、ゴムは集計対象 6社の平均で71万810円、昨年年末比で2・20%増となっている。なお、夏季賞与・一時金の妥結実績(加重平均)は、日本ゴム工業会の情報交換参加会員51社の集計で65万6358円(昨年夏季比2万1217円、3・34%増、日本経団 連(主要業種・大手企業158社)の集計で79万1106円、同4・42%増、厚生労働省(民間主要企業380社)の集計で74万7187円、同3万5297円、4・96%増 であった。

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