【コラム連載シリーズ】世界のゴム事情36 ハンガリーのゴム産業(前編) 加藤進一

2019年06月17日

ゴムタイムス社

 今年の3月に、ハンガリーに出張する機会がありました。今回はハンガリーのゴム事情についてお伝えします。ハンガリーは人口1000万人弱で、首都はブダペストです。西にオーストリア、東にルーマニア、北にスロバキア、南にクロアチア、セルビアに接している、平たい土地の国で、首都ブダペストにはドナウ川が流れています。

JSR MOL工場の入り口

JSR MOL工場の入り口

 今回はJSRが現在、建設を進めているMOL Hungarian Oil and Gas Public Limited Company(以下、MOL)との合弁会社「JSR MOL Synthetic Rubber(以下、JMSR)」の工場を訪問しました。年産6万トンの合成ゴムの生産能力があり、新鋭のSーSBR工場で、間もなく操業開始になるようです。すでにプラントは完成しており、試運転作業、確認作業の時期になっています。日本からの技術者が数十人出張してきており、工場操業の最終段階にきています。

 開所式には現地政府の関係者などが集まり、日本でいう開所式神事を行うようです。合弁相手のMOLはハンガリー№1の石油化学メーカーです。石油精製プラントを持ち、ブタジエンの製造をしています。そのブタジエンを使ってSBRを生産しているのです。

 このSBR工場の完成が当初の予定より遅れていたのは、現地側の安全関係の認可許可が遅れたためだそうです。ブタジエンの取扱、火災消火装置の規定がはっきりせず、許可する政府機関側も初めてのことで、誰がどう許可するの

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