合成ゴム・化学メーカーの19年3月期決算から、合成ゴムとエラストマー事業の現況をピックアップした。市況の低迷や原料価格上昇の影響などから、減益となる企業が目立った。
◆JSR
エラストマー事業は、SSBRの販売伸長や製品価格改定などで増収となった。営業利益は、市況が低迷し売買スプレッドが減少したことや、ハンガリー工場立ち上げ費用などの固定費増加により、減益となった。
◆日本ゼオン
エラストマー素材事業は、合成ゴム関連では、国内販売、輸出、海外子会社とも堅調に推移し、全体の売上高は前期を上回ったが、原料価格変動の影響を受け、減益。合成ラテックス関連では、国内樹脂改質用ラテックスや中国向けの販売が低調で、売上高、営業利益とも前期を下回った。
◆三井化学
エラストマーは、堅調な需要に的確に対応したが、原料価格上昇の影響を受けた。機能性コンパウンド製品は、主にアジア、欧州での堅調な需要に的確に対応した。
◆住友化学
石油化学事業では、石油化学品は、原料価格の上昇により、市況が上昇した。コア営業利益は、千葉工場やシンガポール工場の定期修繕の影響や、石油化学品の交易条件の悪化などにより、減益となった。
◆旭化成
高機能ポリマー事業は、エンジニアリング樹脂の交易条件が改善したが、合成ゴムでは前期ほど良好な交易条件とならなかったことなどから、増収、営業利益は前年並みとなった。
◆宇部興産
合成ゴム事業は、タイヤ用途を中心に販売数量は増加したが、上期において原料価格上昇の中で製品価格が下落したことなどにより、増収減益となった。
◆デンカ
クロロプレンゴムは、米国の子会社が寒波の影響により減産となり販売数量は減少したが、販売価格の改定が進み、増収となった。また、シンガポールの子会社のポリ
スチレン樹脂、MS樹脂は、販売数量が増加し増収となり、ABS樹脂は、販売が堅調に推移した。
◆東ソー
クロロプレンゴムは、堅調な海外需要を背景に輸出価格が上昇した。
◆クラレ
イソプレン関連では、昨年まで上昇基調にあった原燃料価格が下落に転じたが、熱可塑性エラストマー「セプトン」の需要が中国を中心に縮小し、販売量が減少した。
◆信越化学工業
シリコーンは、汎用製品、機能製品とも価格の修正を行うとともに、全世界での堅調な需要に対応して最大限生産し完売した結果、業績が伸長した。
◆ダイキン工業
フッ素樹脂は、米国市場でのLANケーブル用の新商品拡販と、世界各地域での半導体関連需要が好調に推移したことにより、売上高は前期を上回った。フッ素ゴムも、国内・米国市場において、自動車関連・半導体関連分野での需要が堅調に推移したことにより、売上高が前期比を上回った。
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