合成ゴム特集 特集概要 各社の能力増強相次ぐ

2019年05月27日

ゴムタイムス社

 合成ゴムは、タイヤなどの自動車関連用途を中心に多様な分野で需要が旺盛で、メーカー各社は、安定供給に尽力しながら、高機能グレードによる差別化を進めている。
 旺盛な需要を受け、生産能力を増強する動きも活発で、各社の成長戦略に沿ってグローバルに事業を拡大している。
 要求性能に応じた製品グレードをタイミング良く展開することも鍵となるため、各社とも最新のニーズを的確に捉える体制づくりに余念がない。
 ◆S―SBR
 低燃費タイヤ用の溶液重合スチレン・ブタジエンゴム(S―SBR)は、各社ともに販売が好調で、今後も成長が見込まれる中、供給体制の拡充や低燃費性や耐摩耗性を高めた新グレードの開発が勢いを増している。
 世界的に生産能力の拡大が進んでおり、旭化成がシンガポールの新工場で本格生産をスタートしたほか、JSRはハンガリー新工場の立ち上げを急ぐ。米トリンセオのドイツ工場や、韓国のロッテベルサリスエラストマーズでも能力増強の動きが見られる。
 新興国での自動車市場の拡大や、世界各国での燃費規制の強化、タイヤラベリング制度の普及を追い風に、S―SBRの好調は、当面続きそうだ。
 ◆BR
 ポリブタジエンゴム(BR)は、エコタイヤ向けや靴底向けを中心に需要が拡大している。国内最大手である宇部興産が東南アジアで能増計画を進めるなど、さらなる市場の成長が見込まれている。
 ◆EPDM
 エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)では、住友化学がサウジアラムコ社と進めていた石油精製と石油化学の統合コンプレックス、ペトロラービグの新プラントが商業生産の緒に就いた。
 海外でも、アランセオ、ダウ、エクソンと能増が相次ぎ、供給が過剰気味な傾向が続いているが、自動車部品用途を中心に今後も需要増が期待されることから、各社では製品の特徴や用途による差別化を加速させながら、販売拡大を図っている。
 ◆CR
 クロロプレンゴム(CR)は、合成ゴムの各品種の中でも特に需給バランスがひっ迫している。建設資材や接着剤用途をはじめ、幅広く需要が増大し、供給が追いつかない状況が続く。
 他の合成ゴム品目に比べ設備投資の額がかさむため、これまでは各社とも能増には慎重な姿勢だったが、今年以降は、デンカが新潟県の青海工場で能増を予定するほか、東ソーもデボトル増強を計画している。海外では、アランセオも能力増強を図った模様だ。
 しかし、こうした動きと並行して需要も拡大すると予測されるため、需給バランスはそれほど緩まないという見方が大勢で、各社ともフル稼働を続けながら、安定供給に注力している。
 ◆ACM
 アクリルゴム(ACM)は、内燃機関搭載車のシールやガスケットなどで需要が高まっており、日本ゼオンがタイで新工場の建設をスタートさせたほか、大阪ソーダが本格参入し海外を中心に販売拡大を進めている。

 

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