TOYO TIREは5月24日、日本ゴム協会が23日に行った2019年年次大会で、同社技術統括部門中央研究所第二研究部の長谷川裕希さんが「第12回CERI 若手奨励賞」を受賞したと発表した。
同協会では、化学物質評価研究機構(CERI)から技術研究に対する奨励制度の申し出を受け、2008年より45歳以下の研究者を対象に、ゴムおよびプラスチックの評価・加工等の科学技術の進歩に寄与する優れた研究者を「CERI若手奨励賞」として表彰しており、同賞の表彰は今回で12回目となる。
今回、受賞した技術研究は、「液晶ポリウレタンエラストマー」という材料の創製で、液晶エラストマーのポリマー素材としてポリウレタンを採用し、新たに液晶成分を有したポリオールを設計開発するなどの手法を用いて課題解決を図ったことにより、実用化に大きく近づけた。
液晶エラストマーは、熱などの刺激によって特異な変形挙動を示す特徴と柔軟な弾性を兼ね備えている。同社は次世代モビリティなどに適用できる「人との親和性」や「状況変化への適応性」を実現する材料として期待を寄せていた。一方、煩雑な作製工程や加工性の悪さ、相転移温度の任意設定に対する技術的ハードルの高さ、低温領域で十分な伸縮特性を示さないことなど、さまざまな問題があったため、これまで実用化には至っていなかった。
これに対し、最適なポリマー素材に着目して採用するとともに、分子構造の最適な設計や成形工程の工夫等によって、これらの課題を一挙に克服し、連続成形が容易で、高い柔軟性、大きな伸縮力を持つ熱応答性に優れた液晶エラストマーの開発に成功した。