東洋ゴム工業㈱の2011年3月期連結決算は国内エコカー減税、新興国需要拡大により2期ぶりに増収となり、営業利益は2期連続の増益となったが、当期純利益は東日本大震災の影響による約48億円の特別損失を計上し、前期比82 ・4%減の5億2100万円となった。 特別損失の内訳は棚卸資産の減失損等24億7700万円、災害による操業休止期間中の固定費9億7600万円、建物・設備等の原状回復費用7億6600万円、義援金1億5000万円、復旧費用、その他4億5400万円。 決算発表席上、同社の中倉健二社長は東日本大震災による被災内容及び復旧状況を明らかにしたが、仙台工場及び福島工場ともに5月6日までに震災前の水準まで生産を回復した。 震災に伴うグループの被害、経営の影響については、「従業員の命が奪われ、本人が無事でもご家族が亡くなられた方、怪我を負った従業員もいる。また、多くの従業員が家屋に被害を受けたことも判明している。生産拠点で操業停止を余儀なくされ、また、生産拠点以外でも海岸部の物流倉庫や複数の物流拠点が津波によって大きな被害を被った。当社が物流の基幹拠点として利用している仙台港では津波の被害を受け、輸出出荷(輸出用タイヤ)待ちコンテナや天然ゴムなどの入荷原材料、工場操業用燃料(石炭)など、製品・原材料の一部が流失した。このほか完成車メーカーの操業ダウンに伴い、当社自動車部品工場(桑名)の操業度低下により大幅減産となった。 通常の物流機構が途絶えるという非常事態の中、客先へ製品供給を賄うことが急務となったが、応急措置として他の港(京浜港、新潟港)や物流倉庫を一時的に依頼するなど、様々な生産・物流対応体制を構築した。国内市場の復旧状況を見ながら、仙台工場と三重県の桑名工場との間で、桑名国内向け製品を仙台にて互換生産、仙台工場の海外向け製品を桑名工場にて一部互換生産し、四日市港、大阪南港を通じ海外へ輸出した」と説明した。
2011年05月16日