廃PET製のPBT開発 サウジのサビック社

2019年06月12日

ゴムタイムス社

 サウジアラビアの化学製品メーカーであるサビックは6月12日、リサイクルPETからアップサイクルされたポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂「LNP・ELCRIN・iQ」を発表した。同製品は、消費者が廃棄したPET(主に使い捨ての水ボトル)をケミカルアップサイクルしたもので、耐久性などの特性が強化されており、同社はさらなるリサイクル樹脂の需要を喚起する。

 同製品は、同社の独自技術によってアップサイクルされたiQ・PBT樹脂をベースにしており、バージンPBT樹脂に比べ、累積エネルギー需要および地球温暖化係数の測定において、工場での原材料入手から製品出荷までの環境フットプリントを低減させる効果が期待される。

 このアップサイクル技術は、PETボトルやその他のPET廃棄物を前駆体化学物質に解重合し、さらにそれらを精製して新しいPBT樹脂を製造する化学プロセスを使用することで、メカニカルリサイクルの限界を克服し、高い生産効率に寄与する優れた流動性、耐薬品性、着色性、そして難燃性といった性能を提供している。

 同製品は、バージンPBTおよび他の従来のPBT樹脂を直接置き換えられるため、顧客は現在使用しているPBT樹脂を同製品に変更するだけで、自社製品をより環境に優しい持続可能な製品にすることができる。また、同製品は、PBTの製造に使用されていたバージン原料を使用しないことで、材料製造時の消費エネルギーを最大61%、カーボンフットプリントを49%、それぞれ削減したことがライフサイクルアセスメント調査で示されている。また、同製品は、1kg当たり最大67本の使用済みPETボトル(500ml)を再利用している。

 同製品には、ガラス強化やミネラル強化グレード、非ハロゲン難燃性の配合など、ユーザーの要望に応じた製品が取り揃えられている。高い耐久性と優れた外観が求められる家電製品や自動車用コネクター、医療機器の外装などでの需要が見込まれ、これまで使い捨てられていたPET樹脂の使用期間を延長させ、材料が廃棄されるまでの期間を延ばすことに貢献する。

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