東レは7月16日、ハンガリーのニェルゲシュウイファル市において、リチウムイオン二次電池(LiB)用バッテリーセパレータフィルム(BSF)生産設備の新設を決定したと発表した。新たな生産設備は2018年4月に設立した東レハンガリー(THU)に設置し、これによって同社グループ全体のBSF生産能力は年産約20%増強となる。稼働開始は2021年7月を予定している。
同社は、BSFの生産設備に関して、日本の那須工場のほか、韓国でBSFの開発・製造・販売を行う東レバッテリーセパレータフィルム韓国(TBSK)、コーティング加工を行う東レBSFコーティング韓国(TBCK)を有し、2017年に発表したそれぞれの増産設備は2018年度から順次稼働を開始している。
BSFの世界需要は、携帯型電子機器、定置用蓄電池など民生用途の堅調な拡大に加え、今後は電気自動車の普及拡大による車載用途での急激な拡大が見込まれている。特に欧州では、環境問題への意識の高まりから、環境対応車の普及は急速に進むと見られており、電池メーカー各社の進出も活発に行われている。
同社は、フィルム事業において現在進めている中期経営課題「プロジェクトAP―G2019」の基本方針を「成長分野での高付加価値品拡販とグローバル拠点のフル活用による事業拡大」と設定し、BSF事業の拡大を最大の課題と位置付けている。
同社は、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の下、環境負荷の低減に貢献するLiBの主要部材であるBSFの需要拡大に積極的に対応し、世界シェアナンバーワンのBSFメーカーを目指すことにしている。
同社の海外事業展開は地産地消を基本戦略とし、顧客の立地に合わせて生産拠点を設置することで需要増への対応を確実に行うとともに、地域の経済発展にも貢献することを目指している。