横浜ゴムは7月23日、SUV・ピックアップトラック用タイヤの新商品「ジオランダーX―AT」を9月から日本で発売すると発表し、このタイヤの試乗会を群馬県長野原町で開催した。
ジオランダー・シリーズでは現在、オンロード性能と快適性の高いオールテレーンの「A/T・G015」と、オフロード性能とデザイン性に優れるマッドテレーンの「M/T・G003」が展開されているが、新商品のX―ATは、これらの中間に位置付けられるタイヤで、オンロードでの快適性を求めつつ、オフロードチューニングやドレスアップも楽しむユーザー向けに開発された。
試乗会に先立ち、野呂政樹取締役常務執行役員のあいさつの後、消費財製品企画部の小島弘行タスクリーダーが開発の背景を述べ、「見た目はアグレッシブだが、走行の快適性を損なわないでほしいというニーズが高まっている」と説明した。
X―ATは、サイド部のデザインがタイヤ両側で異なり好きな方を外側に向けて装着できるのが特徴で、性能面では、①摩耗寿命の向上、②A/Tより優れたオフロード性能、③快適性とアグレッシブな外観の両立を図った。トレッドパターンは、センターのアグレッシブブロックが強度とグリップ、静粛性の向上に、ショルダーのダイナミックブロックが高いエッヂ効果に貢献している。
試乗会は、オンロードとオフロードの2コースで行われ、初めに、緩やかなカーブと勾配が続く舗装路の軽井沢スノーパークで、フォード・ラプターに試乗した。
時速約50kmで走行したところ、車高の高い典型的な米国のピックアップなのに、セダンのように静粛性が高いことにまず驚かされた。コーナリングもスムーズで、ゴツゴツした外観のX―ATを装着していることを忘れるような静かさと安定性を感じた。
このコースで、ジープ・ラングラーにも試乗した。車の特性上、先のラプターより路面の感触が伝わったが、十分に快適で、機密性が高いとは言えないハードトップの車種でも静粛性が保たれていた。この快適なタイヤで本当にオフロードが走れるのか、不安がよぎるほどだった。
続いて、会場を浅間サーキットに移し、急な勾配や水たまりのあるマッドなオフロードで、ジープ・ラングラーに試乗した。雨の後で路面状態が悪かったが、急カーブでも速度をあまり落とさず安定して走行でき、水たまりでもグリップ感は失われなかった。急な上り坂では、途中で一時停止し再発進したが、タイヤの空転はなく、高いトラクション性を発揮。先ほどの不安が一掃されたばかりか、想像以上のオフロード性能に驚嘆した。
この同じコースで、トヨタTRD―ハイラックスにも試乗した。ラングラーより車体がひと回り大きかったが、急カーブや急勾配を難なくこなし、操縦安定性の高さが実感できた。走行後のタイヤに泥詰まりは一切見られず、高い排土、排石性能を表していた。
新商品のX―ATが、オンロードとオフロードで各性能を高次元で両立していることが体感できる試乗会となった。