ユニチカは8月19日、金属(銅など)およびポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂フィルムに良好な接着性を有し、かつ金属の腐食による接着性の低下を防ぐことができるポリエステル樹脂接着剤を開発したと発表した。同社の飽和共重合ポリエステル樹脂「エリーテル」の耐腐食性グレードとして新たにラインアップされる。同社は、耐腐食性と接着性の両方を兼ね備えたさまざまな部材への需要を取り込み、この開発品の売上高を2021年度に1億円まで成長させることを目指す。
従来、防錆処理と接着層塗工は、それぞれが別の工程だったが、この開発品を用いることにより、一度の塗工で2つの機能を同時に発現することができ、工程簡略化に役立つ。また、メッキレスで金属の腐食を抑制できる環境にも配慮した製品となっている。
近年の急速なエレクトロニクス化により、さまざまな分野で高度な電子機器を搭載するケースが増え、自動車や通信端末などでは、小型化にも対応できる強力な接着性だけでなく、屋外など過酷な環境で使用するための腐食に対する耐性も求められている。このようなニーズが高まる中、同社のエリーテルが長年培ってきた、ポリエステル樹脂設計技術、ワニス調合技術、量産製造技術を駆使することで、接着性と耐腐食性を両立する接着剤の開発に成功した。
接着性については、銅、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属やPET、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートなどの樹脂フィルムに対して接着性が良好となっている。
こうした特長から、フレキシブルフラットケーブル(FFC)では、絶縁被覆樹脂(PET、ポリイミドなど)とメッキレス銅線との接着性や耐熱性、フィラー配合性を活かした難燃性が評価され、FFCの量産化が検討されている。
この開発品は、同社の飽和共重合ポリエステル樹脂「エリーテル」の耐腐食性グレードとして新たにラインアップされる。