JNCは8月20日、日本材料技研との間で、ダブルデッカー型シルセスキオキサンおよびこれを用いた低誘電・高耐熱樹脂に関し、ライセンス契約を締結したと発表した。
ライセンス対象は、同社が独自に開発したダブルデッカー型シルセスキオキサンを基本構造とするモノマーおよびこれを用いたポリイミド樹脂やエポキシ樹脂などとなる。
このモノマーは、二官能性であるため、ポリマーの主鎖にかご型シルセスキオキサンを組み込むことができ、半導体封止樹脂やポリイミド樹脂のさらなる低誘電・高耐熱化につながることが期待される。
同社は、日本材料技研にこのモノマーなどの製造と販売に関する実施権を許諾し、半導体分野やディスプレイ分野で用いられる新たな材料開発に貢献していく。
ダブルデッカー型シルセスキオキサンは、同社の研究グループによって世界で初めて合成に成功した。二官能性とすることで剛直な多面体構造をポリマー主鎖へ導入することが可能となり、ポリイミドをはじめとする各種エンジニアリングプラスチックスへの応用が期待されている。
また、かご型シルセスキオキサンは、低誘電性や高耐熱性など多くの優れた特性を持つケイ素化合物となる。有機無機ハイブリッド材料の無機成分として、エレクトロニクス、フォトニクス分野での応用研究が活発に行われている。
同社グループでは、今後も社内の技術成果の有効活用を図り、ベンチャー企業やベンチャーキャピタルなどとも連携しながら、自社技術の価値最大化を進めていくとしている。