独ランクセスは8月20日、クロム化学品事業を中国の皮革用化学品メーカーのブラザー・エンタープライゼス・ホールディングス(ブラザー社)に売却すると発表した。両社は8月12日付けで売却に関する合意書に調印した。事業譲渡は、関係各国の独占禁止法規制当局の承認を経て、今年末までに完了する予定となっている。
ランクセスのマティアス・ツァハトCEOは「当社は近年、クロム化学品事業の再構築を着実に実施してきた。その結果、同事業は、特殊化学品に注力する当社の戦略に適合しないものとなった。従って当社は、同事業の今後の一層の成長および発展のためにブラザー社の下で事業が展開されることがより適切であるという結論に至った」と述べている。
クロム化学品事業は、同社の皮革用化学品ビジネスユニットに属し、年間売上高は約1億ユーロを達成している。同社は、南アフリカにある2拠点でこれらの化学品を製造している。2拠点のうち、ニューキャッスル拠点では、重クロム酸ナトリウムを製造し、その一部を同拠点でクロム酸に加工している。もう一方のメレバンク拠点では、世界中の皮革産業向けに、重クロム酸ナトリウムから皮革用クロムなめし剤を製造している。ニューキャッスル拠点の約220人の従業員は、事業譲渡の一環としてブラザー社に移籍する。また、メレバンク拠点では、ブラザー社との契約に基づき、ランクセスが2024年まで皮革用クロムなめし剤を製造する見込みとなっている。