クラレ(東京都千代田区、伊藤正明社長)のエラストマー事業は、昨年、水素添加スチレン系エラストマー「セプトン」の販売が過去最高を達成したが、今年上期は中国経済の悪化の影響を受けて販売が足踏みし、計画を下回った。セプトンは、昨年まで雑貨用途を中心に中国で需要が高かっただけに、中国の影響が響いた。これに対し、国内は需要が比較的堅調で、安定した販売が続いている。
一方、住友ゴム工業の冬タイヤのCMでクローズアップされるなど、タイヤ用途で注目が高まるのが、液状ファルネセンゴム「L―FR」だ。低温グリップ性能やブリードアウトしにくくロングライフに貢献する特性が評価され、国内外で採用が広がり、着実に需要が伸びている。現在は冬用タイヤでの採用が目立つが、低燃費タイヤ向けの新しい液状ゴムの開発にも積極的に取り組んでおり、タイヤ各社への提案を進めている。EV化に伴う重量増や高トルクでの走行に求められる、耐摩耗性やグリップ性能の向上についても研究開発を進めている。
このほか、引き合いが増えている製品に、こちらもサトウキビ由来のβ―ファルネセンを用いた「セプトン」BIO―シリーズがある。ウエットグリップ性能が高くシューズや手袋などで需要が期待されるほか、昨今の環境意識の高まりに向け「バイオ」の観点からもサンプル試作の依頼が多いという。10月にドイツで開催される「K2019」に同製品を出展する