日揮、荏原環境プラント、宇部興産、昭和電工の4社は8月28日、秘密保持契約を7月31日に締結の上、「EUP」(エバラ・ウベ・プロセス)を活用した廃プラスチックのガス化処理設備の設計・調達・建設に関わる協業の検討を開始したと発表した。
廃プラスチックのガス化ケミカルリサイクルは、他の手法ではリサイクルが困難である異種素材や不純物を含むプラスチックを分子レベルに分解し、さまざまな化学物質に再生することが可能であり、リサイクル率の大幅な向上への貢献が期待されている。
EUPは、2000年に荏原製作所(2009年に荏原環境プラントに事業承継)と宇部興産が開発したもので、廃プラスチックを酸素と蒸気による部分酸化によりガス化し、アンモニアやオレフィン等の化学品合成に利用可能な合成ガスを生産するプロセスとなる。
2003年より昭和電工川崎事業所で稼働を続けているガス化設備(廃プラスチックの年間処理量約7万t)には、このEUPが採用されており、ガス化ケミカルリサイクル用途では世界で唯一の長期商業運転実績を有する技術となっている。
今後、日揮、荏原環境プラント、宇部興産、昭和電工の4社は、年内をめどにEUPのライセンス契約を締結のうえ、国内外でガス化処理設備に関わる積極的な営業活動を展開し、EUPを用いた廃プラスチックガス化処理設備の提案およびEPC業務遂行を目指す。さらに、EUPを含む設備にて合成されるアンモニアやオレフィン等を用いた化学品製造設備の提案を通じ、国内外におけるガス化ケミカルリサイクルの普及および資源循環推進に取り組むことにしている。
海洋マイクロプラスチックが社会問題となる中、廃プラスチックのリサイクルの推進は世界的な課題となっている。日本でのプラスチックのリサイクル率は86%だが、そのうち、資源循環されているプラスチックの割合は13・5%に留まり、残りは海外輸出やサーマルリサイクル等に利用されている。さらに、中国や東南アジア諸国における固体廃棄物輸入の規制強化の流れが強まる中、日本のみならず各国内での資源循環システムの確立が急務となっている。