宇部興産は9月2日、京セラと同社が、第5世代(5G)通信基地局用のセラミックフィルタ事業の拡大を目的とする合弁会社設立に合意したと発表した。
同契約の締結により、2019年12月をめどに、宇部興産の100%子会社であるユー・イー・エル(山口県美祢市)の株式51%を京セラが取得し、京セラ宇部RFテックとして新体制で事業を開始する予定だ。
大容量・低遅延・多数接続を可能とする5G移動通信システムには、比較的広範囲をカバーするマクロセル基地局とスポット的に超大容量のデータ通信に対応するスモールセル基地局があり、今後普及が進む見通し。これらの基地局は、多数のアンテナを配置するとともに、狭小な場所にも設置できるように部品の小型化が必要不可欠となっている。
ユー・イー・エルの主力製品であるセラミックフィルタは、基地局においてアンテナと対になる重要部品であり、5Gに対応した特定の周波数を通過または遮断させる機能を備えている。セラミックスを用いることで、より高出力かつ小型化が可能なことから、特にマクロセル基地局において、金属製フィルタの代替製品としての期待が高まっている。
合弁会社では、ユー・イー・エルが培ってきたフィルタの設計技術力と、京セラの生産技術力やグローバルな営業力を融合させることで、5G通信基地局用のセラミックフィルタ事業の拡大を目指していく。