BASFは9月4日、土壌生分解性プラスチック「エコバイオM2351」が、トマト栽培における土壌の改良、収穫量の増加、味の向上に貢献していると発表した。
エコバイオM2351は、生分解性コポリエステルであるポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)である「エコフレックス」と再生可能原料から製造された他の生分解性ポリマーで構成される、認証済みのマルチフィルム用土壌生分解性プラスチック。エコバイオM2351で作られたマルチフィルムは、土壌中の天然に存在する微生物が、代謝可能な食物としてフィルムの構造を認識するため、収穫後に土壌にすき込むことができる。
さらに、エコバイオで作られたマルチフィルムは、無マルチ農法と比較してトマト収穫量を15~50%増加させ、水の消費量を減らし、除草剤を減らしながら雑草を抑制させることも可能になる。その上、真菌病に対する作物の抵抗性が高く、収穫時期が早まるほか、品質が安定し、トマトの糖度が高くなることがわかっている。エコバイオM2351の使用により、持続可能な農業と、より高い収穫量と高品質の効率的な農業生産を同時に実現することができる。
トマトは、加工食品業界向けに世界で最も多く栽培されている野菜で、多くの国の生産者が、ポリエチレン(PE)製のマルチフィルムを使用して、雑草、土壌温度および水使用を制御することでトマトの収穫量を増やしている。しかし、PEマルチフィルムの残留物は微生物によって生分解されず、土壌に蓄積されるため、PEマルチフィルムを収穫後に土壌から除去する必要があるが、薄いフィルムを完全に回収することは通常では不可能となっている。エコバイオM2351製のフィルムは、収穫後に土壌にすき込むことができるため、労働力とコスト削減につながる。
また、エコバイオM2351は、EU域内における統一規格であるEN規格DIN・EN17033に則り、土壌生分解性であると認証された最初の素材で、エコバイオM2351で作られたマルチフィルムの使用は、多くの国で有機農作物栽培において認められている。
エコバイオM2351は、薄膜フィルムのインフレーション成形用のコンパウンド材料で、従来のPE用のインフレーション成形機でも加工が可能であり、強度・耐引裂き性に優れた機械的特性を有するため、さまざまな膜厚で製造することができる。