三井化学は9月26日、環境省がGHG削減施策の一環として実施する「令和元年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」において、同社のバイオポリプロピレン(バイオPP)実証事業が採択されたと発表した。
今後、同社は世界初となるバイオPPの工業化実証試験を行い、技術面、品質面、経済性、GHG排出量削減効果等の評価を多面的に行うことにしている。これらの課題をクリアしながら、同社グループとしてバイオPPの事業化を検討し、最短で2024年の生産開始を目指す。
今回事業化を目指す新しい製法は、非可食植物を主体とするバイオマス原料から発酵によりイソプロパノール(IPA)を製造し、それを脱水することでプロピレンを得る、世界初のIPA法となる。この製法は、これまでに検討されている他社のバイオマス製法に比べて、より安価なバイオPPの製造を可能にする。
ポリプロピレンは自動車部材をはじめ、医療、家電、住宅、食品分野まで幅広い用途に使用されており、人々の生活に欠かせない素材の一つとなっている。日本で生産されるプラスチックの2割強を占める主要な素材だが、バイオマス原料化の難易度が高く、今のところ工業化レベルの技術確立には至っていない。
同社は、㈱開成と共にバイオPPの事業化を目指している。開成との取り組みは、開成からバイオマス原料の供給を受けるとともに、バイオマス原料製造で生じた廃棄物の回収とその有効活用により、同社製造設備への電力供給を目的としたバイオマス発電や肥料の製造を行うものとなる。同社は開成と共に、サプライチェーンを通じた資源循環型モデルの構築と環境対応による社会貢献を目指す。