日本ゼオンは9月30日、岡山県倉敷市の水島工場における熱可塑性透明樹脂シクロオレフィンポリマー(COP)の生産能力増強を決定したと発表した。
同社のCOPである「ゼオネックス」と「ゼオノア」は、液晶テレビやスマートフォン、医療容器などの主要用途で需要が拡大しており、今後さらなる需要増が見込まれる。今回の増強により、年産能力は現行の3万7000tから4万1600tへと拡大される見通しとなる。2020年度中の着工、2021年7月の完工を目指す。
同社のCOPは、優れた光学的・化学的性質を持ち、光学フィルム、光学レンズから医療・バイオテクノロジーの分野に至るまで幅広く利用され、高い評価を得ている。特に、同社独自で開発した溶融押出法により自社加工している光学フィルム「ゼオノアフィルム」は、ディスプレイの大型化に伴う市場拡大に合わせ、近年、フィルム生産能力を相次いで増強してきたが、加えて、レンズや医療の用途についても堅調な伸びを示しており、COP全体の需給バランスがひっ迫することが予想されていた。今回の増強はそれらの需要増に対応するものとなる。
同社は、今後もCOPの安定的な供給体制を確保しながら、産業発展に尽くしていくとしている。