三井化学(東京都港区、淡輪敏社長)が製造・販売するエチレン・プロピレンゴム(EPDM)「三井EPT」。足元の需要環境について、エラストマー事業部の水川修一EPTグループリーダーは「取引先の部品メーカーやコンパウンダーからの引き合いがかなりスローダウンしている」と説明する。
千葉県の市原工場(公称能力9万5000t)で製造される三井EPTは、6割強を自動車関連の用途が占め、半数前後が海外向けに輸出される。
それだけに、米中摩擦を端緒に中国からアジアに広がる景気減速は看過できないインパクトとなり、特にインドでは、排ガス規制強化と自動車ローン貸し渋りも相まって車の販売・生産が落ち込んで、需要が低調だった。19年度上半期は、海外向けの販売は弱含みで推移した。
これに対し、日本国内では、自動車向けの需要が今のところ堅調で、前年並みの販売を確保している。
一方、中国への供給は、上海中石化三井弾性体(SSME、公称能力7万5000t)が担う。中国ローカル自動車メーカーの生産ペースが落ちて需要は減速気味だが、中国国内で生産するため米国製等EPDMに賦課される追加関税などの影響を受けないことは好材料で、関税の水準が高まることによっては米国製等EPDMから同社製品への転換が進む可能性もある。
このほか、自動車関連以外の産業用や一般工業部品用でも、世界経済の鈍化を受け需要がやや弱含みとなった。
EPDMをめぐっては、ダウ