伸縮性フィルム開発 東レ 柔軟性と復元性を両立

2019年10月17日

ゴムタイムス社

 東レは10月15日、容易に変形できる優れた柔軟性と変形させても元通りに戻る高い復元性を両立した伸縮性フィルムを開発したと発表した。同開発品は加工適性も優れており、折り畳みや巻き取り可能なディスプレイ、ウェアラブルデバイスなどの幅広い分野への適用が期待される。現在、同社は量産技術確立を進めており、2020年を目処に本格展開を行うとしている。

 近年、折り畳みや巻き取りが可能なディスプレイや、衣服や肌に装着させて生体情報を収集するウェアラブルデバイスが実用化されている。これらのデバイスは、様々な環境下で繰り返し変形した時の復元性、衝撃吸収性などを必要とするため、容易に変形できる優れた柔軟性と変形させても元通りに戻る高い復元性を両立するフィルムが求められている。しかし、従来技術では柔軟にしようとすると、復元性に必要な分子構造上の「つなぎ止める部分」が不足し、柔軟性と復元性がトレードオフの関係になるため、両立させることは困難だった。

 同社は、独自のポリマー設計と製膜技術を用いることで、非常に柔軟で変形させても元通りに復元する伸縮性フィルムを開発した。さらに、低温から高温の幅広い温度範囲でこの特性を維持することも確認している。また、このフィルムはフィルム表面への塗布、印刷、貼り合わせなど様々な加工に求められる、耐熱性、印刷適性(密着性)、表面形状の自由度を有しており、今後、各種デバイスへの適用が期待できる。

 同開発品の特徴として、優れた物理特性と優れた加工適性が挙げられる。

 優れた物理特性では、わずかな力で変形できる優れた柔軟性と、元の長さの2倍に引っ張る変形を繰り返してもヒステリシスなく、元通りに復元し、変形後、長時間保持しても復元する高い復元性を両立した。またマイナス20~80℃の広い温度範囲でもこの特性を維持することに成功している。

 優れた加工適性では、150℃での乾燥、熱処理が可能な耐熱性とスクリーン印刷やインクジェット印刷が可能な印刷適性を実現した。また、高平滑からマット(ツヤ消し)や凹凸形状まで、用途や加工工程に合わせてさまざまな表面形状への対応を可能にした。

 

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