ブリヂストンは10月16日、ゴムと樹脂を分子レベルで結びつけた世界初のポリマーの名称を「SUSYM(サシム)」に決定したと発表した。これにより、「SUSYM」の認知拡大を図り、次世代ポリマー素材として応用することを通じて、タイヤ材料としての枠組みを超えた多様な分野への貢献を目指す。
「SUSYM」は、同社が2018年5月に発表した「High Strength Rubber」をさらに進化させたもの。従来のゴムよりも高強度・高耐久であるとともに、①穴が開きにくい(耐突き刺し性)、②治る(再生・修復性)、③低温でも強い(低温耐衝撃性)などの性能が飛躍的に向上している。
主な特徴として、①穴が開きにくい(耐突き刺し性)は、局所的に強い力を加えて変形させても壊れにくく、高強度なゴム材料や、タイヤ材料以外にも様々な用途が期待される。②治る(再生・修復性)では、穴が開いてしまった場合でも、熱を加えると簡単に穴を治すことが可能。一度壊れても何度でも再生可能な新たなゴム素材としての活用が期待される。③低温でも強い(低温耐衝撃性)は、従来のゴムは低温環境下では硬く脆くなってしまうため叩くと簡単に壊れてしまうが、「SUSYM」は低温でもしなやかさを保つことができるため、叩いても壊れにくくなっている。そのため、低温で使用される素材として役立つ可能性がある。
この3つの性能において、ゴムのしなやかさと樹脂の強さを両立しながら、それぞれの特性を自在に引き出すことができ、タイヤ以外の様々な分野への親和性が高く、実社会との共生可能な革新的な材料であると同社は考えている。また、従来のゴムより高強度・高耐久のため、より少ない材料使用量でタイヤに求められる様々な性能を達成可能であることや、再生可能であるため、環境調和型の新素材として持続可能な社会への貢献が期待できる。
同社は、今後この独自技術の成果を様々な分野、多くの企業・団体と連携しながら研究・開発をすすめ、「SUSYM」の素材としての無限の可能性を拡げていきたいとしている。23日から始まる「第46回東京モーターショー2019」では、「SUSYM」の様々な機能や素材を活かしたコンセプトタイヤを展示し、プレスカンファレンスでは「SUSYM」の概要説明を行う。
同社はCSR体系「Our Way to Serve」の中で、モビリティ、一人ひとりの生活、環境を重点的に貢献していく領域としている。イノベーションとソリューションを通じて、これらの領域において顧客価値・社会価値を創出していき、人々がより快適に移動し、生活し、働きそして楽しむことに貢献していくとしている。