日本ゼオン ACM新工場、20年春に完工 耐熱性向上品近く上市

2019年11月05日

ゴムタイムス社

 日本ゼオン(東京都千代田区、田中公章社長)の19年度の上半期は、需要先の景況が総じて芳しくなく、特に6~8月は需要が弱含みとなった。米中摩擦や各国の保護主義などの諸問題が全てマイナス要因となっている。合成ゴム全体の動向を見ると、販売数量は前年同期を上回ったが、原料価格下落に伴い製品単価が下がり、売上は大きな伸びを示していない。特殊ゴムでは、主な需要先である自動車の生産台数減少に加え、産業機器用や工作機械用の需要も弱まり、各顧客の受注量は減少傾向となっている。

大井ゴム事業部長

大井ゴム事業部長

 こうした事業環境ではあるものの、同社の各製造拠点では高稼働が続いている。

 品種別では、アクリルゴム(ACM)と水素化ニトリルゴム(HNBR)が販売を伸ばす。

 ACMの「ニポールAR」は、一部ではフッ素ゴムからの代替も進み、シールやガスケット用途で需要が広がる。タイの年産5000tの新工場建設は順調で、計画通り20年春に完工する予定で、特にアジア地域での需要増の取り込みを図る。

 HNBRの「ゼットポール」は、従来のタイミングベルト向け中心から用途が拡大し、耐熱性や耐油性が求められるOリングやシールでの採用が着実に増加している。

 また、特殊架橋タイプの「ゼットポール」は、川崎工場の乾燥能力増強が完了し、20年初めには評価用サンプルの出荷が始まる。従来品より耐熱性が

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