住友ゴム工業は10月24日、ダンロップのフラッグシップ低燃費タイヤ「エナセーブ・ネクストⅢ」を12月1日から発売すると発表した。発売サイズは1サイズで、希望小売価格は2万5100円(税別)。従来のポリマーとは全く異なる水素添加ポリマーを用いウエットグリップ性能の低下をほぼ半減したほか、バイオマス素材であるセルロースナノファイバーを世界で初めてタイヤに採用した。
タイヤは使用による摩耗や経年により新品時から性能が低下していくが、同社は独自のAI技術「タイヤリープAIアナリシス」と新材料開発技術「アドバンスド4Dナノデザイン」を駆使し、タイヤの摩耗や経年による性能低下のメカニズムを分子レベルで解明した。今回の新タイヤには、これまでと全く異なる新しいポリマー水素添加ポリマーをタイヤで初めて採用することで、ゴム内部の分子の強い結合力と切れても戻る結合が実現でき、ウエットグリップ性能の低下を従来品と比べてほぼ半減させている。
また、このタイヤは、日本製紙のセルロースナノファイバー「セレンピア」を採用し、ゴムへのコンパウンディングには三菱ケミカルのカーボンブラックマスターバッチの製造技術を活用することで、高次元でセルロースナノファイバーが分散したゴム材料を開発した。これによりタイヤの周方向と径方向の剛性のコントロールを実現しながらも原材料の側面で環境性能を高めている。
この新タイヤは、同社が掲げる「スマートタイヤコンセプト」の主要技術を採用した第一弾商品となる。タイヤの摩耗や経年による性能低下を抑制し新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」のコンセプトを取り入れているほか、高機能バイオマス材料であり国が重点産業として推進している素材・セルロースナノファイバーを採用し「ライフサイクルアセスメント(LCA)」の観点から環境負荷低減にも貢献できるものになっている。