ナフサ価格は4万円を下回る水準に 日本ゴム工業会は10月25日、大阪市のホテル阪急インターナショナルで第18回幹事会を開催し、ゴム製品の生産・輸出入概況や昨年度の会員企業の経営指数調査結果などを発表した。
資材関係事項
原油価格 60ドル下回る
◆原油・ナフサ価格の推移
原油相場は、WTIが18年末に50ドルを下回る水準となったが、19年に入りOPEC等による協調原産の継続や米中貿易協定の進展への期待度、米国の対ベネズエラ、対イランへの経済制裁の強化、リビア国内の内戦などを背景に反転し、4月にはドバイが70ドルの水準まで上昇した。しかし、その後は米中貿易摩擦の再燃と長期化を背景に世界経済に対する先行き懸念が強まり、WTIは6月以降60ドルを下回る水準で推移している。また、ドバイも足元では60ドルを下回る状況となっている。
ナフサ価格は、原油価格に連れて、東京オープンスペック、輸入ナフサ価格ともに19年第1四半期に3万7000円台まで下落した。その後、原油価格に連れて反転し、第2四半期は4万5000円前後まで上昇したが、第3四半期は、世界経済の先行き懸念から4万円を下回る水準まで下落している。これに伴い、国産ナフサ価格も、19年第2四半期の4万5400円から、第3四半期はマイナス5000円となる4万円前後まで下落すると予測されている。
◆天然ゴム価格の推移
天然ゴムについては、米中貿易協定の期待感等を背景に18年末から19年年初にかけて上昇に転じ、その後は世界経済の先行き不透明感や上海相場の下落、主要生産国による輸出制限政策等の要因により、4月ごろまで当限、先限ともに概ね180円台で推移した。5月以降は、産地の天候不順による供給減少観測等を背景に上昇し、当限は7月まで200円を超える水準で推移した。しかし、8月以降は米中貿易摩擦の再燃、激化による世界経済の先行き懸念や産地の生産シーズン切り等を背景に下落しており、足元では先限、当限ともに150円台の水準まで下落している。
生ゴム営業倉庫在庫は、19年1月を底に上昇に転じた後、1万4000~1万5000t内で推移しており、9月10現在の在庫量は1万5077tとなっている。
◆日銀企業物価指数の動向
原材料については、19年1~9月の平均は、カーボンブラックを除いていずれも前年から下落している。天然ゴム、合成ゴム、ナフサ、スチレンモノマーについては、対15年比で100を下回っている状況となっている。エネルギーは、電力、都市ガスともに前年から上昇しており、電力は対15年比で104・2と高い水準となっている。都市ガスは、対18年比ではプラス7・9ポイント上昇しているが、3月以降下落傾向が続いており、9月は82・2で18年の水準まで下落している。新たに企業向けサービスの価格指数として追加した道路貨物輸送は、15年から徐々に上昇を続けており、19年は107・8となり、トラックのドライバー不足による影響が統計上にも表れている。
ゴム製品生産は減速傾向顕著に
幹事会の冒頭、あいさつに立った池田育嗣会長(住友ゴム工業)は業界を取り巻く現況について、「 ゴム製品生産は工業用品を中心に減速傾向が顕著になってきた」と説明した後、当面の課題について、「国際間での公平公正な競争の維持、国際的な標準化、環境問題への対応、国内においても働き方改革や生産性改善への対応」などを上位課題として挙げ、「ゴム産業全般の課題に対して、