デンカエラストリューション 多品種小ロット生産を強みに 収益改善のため生産性向上へ

2019年11月18日

ゴムタイムス社

 多品種小ロット生産への対応力を強みに多種多様な顧客ニーズに対応するデンカグループのデンカエラストリューション(群馬県高崎市、長坂英昭社長)。

長坂社長

 同社はCRを中心にEPDM、NBR、SBR、NRなど、ほぼ全種類のゴムコンパウンドを扱っているほか、熱膨張性耐火材や押出成形の止水材、プレス成型品など多様な工業用ゴム製品の製造・加工・販売を手掛けている。

 同社の上半期の需要動向によると、主力のコンパウンド事業は前年並みの動きを見せ、熱膨張性耐火材事業は前年比と比べると堅調に推移した。住宅向けに軒下の換気用などの防災強化や災害の危機管理意識の高まりを受け、需要が伸びたという。そのため、後工程用のコンパウンド需要も増加した。そのほか、押出成形やプレス成型については前年並みの動きを示した。その結果、上半期は増収増益となった。

 熱膨張性耐火材の需要増について、長坂社長は「お客様のニーズに対応した製品が伸びた」と捉え、熱膨張性耐火材の新製品の開発強化や更なる販売拡大を目指していく。

 同社は2018年2月にデンカの完全子会社となり、今後の需要増に向けてデンカの各事業部門ともに開発テーマに取り組んでいる。これは新製品開発に留まらず、設備・品質管理・経理等の様々な分野でシナジー効果を期待し、「設備や品質管理部門でシナジー効果が生まれている」(長坂社長)と手ごたえを感じている。

 事業戦略については、デンカの中期経営計画「Denka ValueーUp」の成長戦略の一つ「基盤事業のスペシャリティー化」に基づき、①コンパウンド事業の強化、②熱膨張性耐火材のシェア拡大を掲げており、収益改善のため更なる生産性向上に取り組む姿勢だ。

 とくにコンパウンド事業の強化では、デンカが新開発した機能性エラストマーである「Evolmer(エボルマー)」の展開が重要なカギだと捉え、プレス成形による試作品を作ることでユーザーにPRし、長坂社長は「時間はかかるが、将来的に業績に寄与する製品になる」(長坂社長)と期待を寄せている。熱膨張性耐火材のシェア拡大では、生産の効率化と共に特性面の差別化を図り、販売増につなげていく。

 同社は働きやすい環境づくりのため、従業員の働き方改革に着手しているほか、現場の安心・安全に対する対策にはとくに力を入れており、一昨年からリスクアセスメントに注力している。その結果、ここ2年間は無災害を達成した。引き続き安全を含めた職場環境づくりに力を入れていく方針だ。

 通期の見通しは上半期の堅調さが下半期も続くとみており、同社の強みである複数の加圧ニーダーなどの設備の特長を活かし、長坂社長は「特殊な混練りで少量多品種に対応し、ニッチな分野に注力していく」ことで需要を伸ばしていきたいとしている。

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