三井化学は11月15日、食品包装に代表される軟包材を対象に、廃プラスチック削減に向けたマテリアルリサイクルの実証試験を開始したと発表した。
プラスチック循環利用協会が2017年に発表したプラスチックのマテリアルフロー図によると、日本における廃プラスチックの総排出量は年間約900万tあるとみられ、その削減は大きな社会課題となっている。
今回対象とする軟包材分野は、同社グループが得意とするポリオレフィン樹脂・フィルム製品の最大用途であり、同社推定では、この約900万tのうち約200万tが軟包材に由来するものと考えている。
同社は、この軟包材分野における廃プラスチック削減に取り組む。その最初の取組みとして、フィルム加工・印刷工程で発生する廃プラスチックを再資源化し、軟包材用のフィルムとして再利用するための実証試験を、全国グラビア協同組合連合会の協力を得て、8月より開始した。
さらに、2020年1月には、印刷済みフィルムをロールtoロールで洗浄・印刷除去する技術を導入し、軟包材向けに安定した品質の再生樹脂の確保と、再度フィルム原料として循環利用する技術を検証する。
将来的には、ラミネート、製袋、充填工程、さらには消費後の廃プラスチックへの対象拡大も見据えながら、このマテリアルリサイクルモデルの事業化を検討するとともに、リサイクル性や品質向上に寄与するモノマテリアル包材や、より高品質な再生樹脂を確保するための相溶化技術の開発を併行して進め、廃プラスチック削減および循環経済の実現に貢献していくとしている。