三菱ケミカルは11月26日、米国のアドバンソース・バイオマテリアルズ・コーポレーション(ASB社)のウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)事業を、米国で機能性樹脂事業を展開する三菱ケミカルパフォーマンスポリマーズを通じて買収すると発表した。買収は来年1月をめどに完了する予定。
ASB社のTPU製品は、主に心臓カテーテルなどの医療器具向けに使用され、米国市場で年々シェアを高めている。TPUの生体適合性、抗菌性、柔軟性といった特徴は心臓カテーテルのような体内に挿入する用途に不可欠で、医療器具向けのTPU市場は高齢化、人体への負担軽減ニーズ、医療器具の技術革新等の背景から今後も高い成長が見込まれている。
同社の機能性樹脂事業はこれまでM&A等により世界各地に事業を拡大し、さまざまなエラストマー製品群を保持しているが、今回の買収で製品ポートフォリオにTPUが初めて加わることとなり、ラインアップがさらに拡充される。買収により、同社の塩ビコンパウンド、接着性樹脂、シラン架橋樹脂などを含む機能性樹脂事業の拠点は、世界16ヵ国で31拠点となる。
今回の買収で、米国での医療器具市場における材料認証と販売チャネルを獲得することにより、既存事業の拡大も加速していくことにしている。
ASB社は、米国マサチューセッツ州ウィルミントンに製造拠点を置き、2018年度の売上高は約300万ドルとなっている。