AGCは11月27日、同社で素材の組成開発を担う材料融合研究所と素材の生産プロセス・設備開発を担う生産技術部において、KAKUCHOの保有する「webAR」の試験使用を決定したと発表した。今年12月より同技術を開発現場に導入し、開発のスピードアップを図る。
素材の開発には、組成開発、生産プロセス開発、設備開発などの開発フェーズから量産に至るまで数10年を要することもある。中でも、設備開発は、同じ図面や仕様を共有しているにも関わらず、組成開発者と設備開発者が認識する現物イメージがかけ離れ、開発に多大な時間を要するケースがある。この課題を解決する手段の1つとして、同社はAR技術に着目した。
webARは、専用のアプリを開発することなく、webブラウザ上でAR(拡張現実)を簡単に使用できる技術となる。事前にURLを共有しておけば、スマートフォンやタブレットなどのデバイスを現場でかざすことで、開発設備をそのままの形状・サイズ感で現場風景に重ね合わせて表示ができる。これまで図面や仕様を共有するだけでは正確に伝えることができなかった現場のレイアウト・作業性・安全性等を設備導入前に明らかにすることが可能となる。同技術により、開発者間のコミュニケーションを促進し設備開発のスピードを向上することで、素材開発全体のスピードアップに繋げていくことにしている。