BASFは11月27日、同社の高耐候安定剤「チヌビン」が、スイコーが回転成型により製造した直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)製の滑り台に採用されたと発表した。このLLDPE製の滑り台は、帯電防止性能を備えるとともに、滑り台の安全性と耐久性を向上させ、炎天下での変色を防ぐ特徴を持つ。
LLDPE製の滑り台は、本来、紫外線劣化を起こしやすいため、変色や物性低下が生じる。この課題を解決するために、スイコーは製造工程でポリマー樹脂にチヌビンを添加することで滑り台の色を明るいまま保持することが可能になった。
同社アジア太平洋地域パフォーマンスケミカルズのシニアバイスプレジデントであるハーマン・アルトホフ氏は、「安全性は、子供たちが使用するあらゆるものの製造において、非常に重要な要素だ。当社のチヌビンにより、屋外遊具メーカーは、標準的な紫外線抑制剤を使用して製品寿命を延ばし、ひび割れや劣化を防止する製品を製造することが可能となる」と述べている。
スイコーは、強みである回転成形技術に加え、成形体外表面の紫外線劣化を診断する技術を有している。この紫外線劣化診断技術により、滑り台の適切な交換時期を推奨できるため、遊具の安全性がより向上する。
スイコーの研究開発室の坂木博之室長は、「滑り台は通常屋外に設置され、厳しい気象条件に耐える必要がある。当社は、そのような過酷な状況において、ポリエチレンの物性だけでなく、帯電防止性能を維持することが課題だった。BASFは、豊富な紫外線吸収剤や光安定剤、包括的な耐候性試験データに基づき、適確な製品選定、添加量の提案を行い、このニーズに応えてくれた」と述べている。
公園遊具にはさまざまな素材が使用されている。金属製の滑り台は、夏場には高温となるため、理想的な素材ではない。繊維強化プラスチック(FRP)製や鉄製の滑り台は、定期的に再塗装することが必要であり、また亀裂を予測することが困難となっている。一方、LLDPE製の滑り台は、メンテナンスが容易な上、単一材料のプラスチックとしてリサイクルも可能であるため、ニーズが増加している。