2019年のゴム業界をめぐる事業環境は、米中貿易摩擦激化を背景とした世界経済の先行き懸念を背景に、国内・海外とも減速基調で推移した1年となった。国内は自動車タイヤの需要が順調だったものの、半導体関連や工作機械など機械受注は急激に冷え込み、これら業界に使われるゴム部品の需要は減少した。海外では、米国経済は底堅さをみせたが、中国経済は減速感が鮮明となり、インドも自動車市場が急減するなど、輸出環境の悪化がゴム企業の収益に影響を及ぼした形だ。
①米中対立が業績を直撃
米中貿易摩擦の激化による中国経済の減速に加え、国内外で人件費上昇によるコスト増もあり、主要上場ゴム関連企業22社の20年3月期上期決算は減収減益企業は12社(55%)となり、ゴム上場企業の業績が悪化した。
②ゴム企業人手不足続く
本紙がゴム関連企業を対象に3月実施した「雇用と人材に関する緊急アンケート」では、7割以上のゴム企業が人手不足と回答。依然として人手不足感が慢性化している。
③物流費高騰を理由に市販用タイヤ値上げ
物流費高騰を要因に、国内タイヤメーカーが6月以降順次、国内市販用