年頭所感 日本ベルト工業会 浜谷孝行理事長

2020年01月01日

ゴムタイムス社

 謹んで新春のお慶びを申しあげますとともに、旧年中に賜りましたご厚誼に対し心より御礼申しあげます。

 令和2年の年頭にあたり、一言ご挨拶申しあげます。

 昨年度、令和という新しい時代の幕開けをラグビーワールドカップベスト8という快挙で飾りましたが、反面、温暖化により、九州北部豪雨、台風15号、19号と自然災害は激化し、米中摩擦は世界経済を製造業中心に減速させ、厳しい船出となりました。

 自動車のHV化やEV化による需要の減少、生産の海外移転等が続き国内での生産は益々厳しくなってきました。

 その結果、令和1年度の国内生産量見込みは、ゴムベルト全体で2万4594t(前年比93%)、内需は1万9552t(同98%)、輸出は5041t(同77%)の見込みです。残念ながら、3年ぶりの前年割れです。

 コンベヤベルトの内需向け生産は好調でしたが、輸出向けや伝動ベルトの前年割れをカバーできませんでした。

 令和2年度のゴムベルト生産量予測は、2万3222t(前年見込比94%)としました。その内訳は、内需が1万8579t(同95%)、輸出が4643t(同92%)です。

 内需は経済環境が令和1年後半から低迷し令和2年も大幅な好転は見込めず引き続き厳しい見通しです。輸出はコンベヤベルトの資源国需要減が続く見込みです。

 コンベヤベルトの令和1年度の生産量は1万3649t(前年比92%)の見込み。その内訳は、内需が1万51t(同102%)、輸出が3598t(同72%)です。

 内需は大需要先の鉄鋼、電力、セメントを中心に好調でしたが、輸出は資源国向け需要減により大幅に前年割れの見込みです。

 令和2年度の需要予測は、1万2338t(前年見込比91%)としました。その内訳は、内需が9157t(同91%)、輸出は3181t(同88%)と内需、輸出共に前年割れの見込みです。

 内需は景気後退により低迷、輸出は資源国向け需要の回復は見込めません。海外生産の増加も予想されます。

 伝動ベルトの令和1年度の生産量は1万944t(前年比94%)の見込みです。その内訳は、内需が9502t(同94%)、輸出が1443t(同93%)です。年初から続く機械受注の減少が影響しています。

 令和2年度の需要予測は1万884t(前年見込比99%)としました。

 その内訳は、内需が9422t(同99%)、輸出が1462t(同101%)です。

 厳しい環境は継続するものの半導体製造装置他機械受注の回復を見込んでいます。

 樹脂ベルトの令和1年度生産量は約122万㎡(前年比101%)の見込みです。

 その内訳は、内需が約115万㎡(同100%)、輸出が約6・8万㎡(同120%)です。内需は大型物流倉庫新設等物流分野が好調、食品分野も堅調でした。

 令和2年度の需要予測は約123万㎡(前年見込比101%)と100万㎡の大台は確保できる見通しです。

 その内訳は内需が約116万平方(同101%)、輸出が約7万㎡(同103%)です。

 物流分野は引き続き好調で、食品分野も堅調と見込んでいます。

 ここ数年来、ベルト業界は、ボーダレス化した内外の経済変動を直接・間接に係らず大きく影響を受けてきています。

 特に米中摩擦に端を発した高関税化競争は長期化し、ゴムベルトの一部も高関税の対象の範囲に入っており、今後の影響が懸念されます。

 製造業を中心とした世界経済の減速は、ベルト全体の輸出に大きく影響しています。

 このような環境下、当ベルト工業会では、経済政策や需要先動向等を的確に把握しタイムリーなデータサービスを行う一方、コンベヤISO規格国際幹事として日本の考え方をISOに反映させ日本規格の国際化を推進する等、尚一層のベルト業界発展のため貢献してまいります。

 内外ともにこの1年が良い年となり、皆様がますますご発展されますことを心から祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

浜谷孝行理事長

浜谷孝行理事長

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