年頭所感 日本ゴムホース工業会 十川敬夫会長

2020年01月01日

ゴムタイムス社

 令和2年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 昨年は、台風・豪雨など、度重なる自然災害が日本各地に甚大な被害をもたらしました。先ずもって、被災されました皆様に対し、衷心よりお見舞い申し上げますと共に早期の復興を祈念致しております。

 さて昨年の日本経済は、米中貿易摩擦に端を発する世界経済の減速を背景に、輸出が伸び悩み、生産活動は低調に推移。先行きの不透明感の高まりにより設備投資にも慎重な動きが見られました。

 このような状況下で昨年のゴムホースの生産は、自動車用ホース、高圧用ホース、その他用ホースの何れもが、ここ10年で最高の生産量を記録しました前年実績を下回りました。ゴムホース全体の年間生産量(新ゴム量)は当初予測を約3000t下回る3万5560tで、前年比8・4%減、出荷金額も前年比3・1%減の1400億円といずれも前年を下回ることになろうかと存じます。

 次に、昨年の輸出入の状況ですが、輸出は全体の約43%を占めるアジア向けが前年比約11%減、欧米向けも前年を下回り、年間の総輸出額は前年比約8%減の440億円を見込んでおります。輸入につきましては、主力の自動車用ホースが前年を下回り、年間の総輸入額は、前年比約3%減の160億円の見通しでございます。

 日本の景気は、堅調な内需に牽引され、緩やかながらも回復軌道に復帰するものと期待されておりますが、米中貿易戦争の長期化、世界経済の低迷、欧州政治の混乱、中東・朝鮮半島情勢等が引続き懸念材料としてあげられ、先行きへの警戒感が未だ強く残っております。

 このような情勢下、ゴム業界におきましては、実体経済の動向を見据えながら需要動向へ機敏に対応しつつ、継続的な変革にチャレンジし続ける企業経営が肝要であると考えます。

 本年のゴムホースの生産予測量は前年比1・6%減となる3万4980t、出荷金額は前年比1・9%減の1370億円になるものと予測致しております。

 品種別には、生産構成比約67%を占める自動車用ホースは、生産拠点の海外シフトによる四輪車国内生産台数減少の基本的な構図は変わらず、年間生産量は前年比2・8%減と予測しております。

 構成比約17%の高圧用ホースに関しましては、昨年後半に落ち込んだ土木建設機械・工作機械の需要は本年後半には持ち直し、生産量は昨年比2・2%増との予測を立てております。

 構成比約16%のその他用ホースは、一般汎用ホース(空気、酸素、アセチレン等)、耐油・耐摩耗・ケミカルホースの一般産業分野での需要が安定基調で推移すると見ており、年間生産量は前年並みと予測しております。

 以上の如く、本年のゴムホースの生産量は、全体では昨年を若干下回るレベルで推移するものと予測しております。

 次に本年の輸出入について申し上げますと、輸出が440億円、輸入が160億円と、いずれも前年並みを予測致しております。

 このような厳しい業界動向の中で、当工業会は、国際化の進展に伴い、平成12年にISO機関のホース部門(TC45/SC1)で正式メンバー(Pメンバー)となり、日本の実状や考え方をISOに反映させるよう積極的な働きかけを実施して参りました。

 昨年はドイツ・ベルリンで開催された第67回ISO/TC45国際会議に技術委員が参画し、プロジェクトリーダーとして積極的な提案を行うことで成果を上げました。本年も、タイ・バンコクで開催予定の第68回国際会議に参画し、Pメンバーとしての更なる活動を推進して参る所存であります。

 何かと不透明感が払拭されない変化の激しい環境下ではございますが、当工業会といたしましては、様々な産業分野における重要な機能部品であるゴムホースを供給することを通じて社会的責任を果たすとともに、社会に貢献する価値の創造を積極的に努めて参る所存でございます。

 末筆ながら、本年が皆様にとって飛躍の年になりますことを祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

十川敬夫会長

十川敬夫会長

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