19年下半期のゴム・樹脂関連企業の海外新拠点についての発表は、8社10拠点となった。10社13拠点だった18年下半期に比べ、企業数、拠点数とも減少した。進出先はタイとインドがそれぞれ2拠点で最多となり、タイヤメーカーではブリヂストンとTOYO TIREが新拠点を構えた。
◆豊田合成
豊田合成は7月4日、ベトナムの生産子会社である豊田合成ハイフォン(TGHP)のタイビン工場が稼動を開始したと発表した。7月3日に開催された開所式では、宮﨑直樹社長が「ベトナムで2拠点目となるタイビン工場が稼動したことを嬉しく思う。この工場は、エアバッグの構成部品やハンドルを生産し、グローバルでの安全に対するニーズの高まりに対応していく。地域の皆さまにご支援をいただきながら、地域とともに成長していきたい」と抱負を述べた。同社は、エアバッグを中心とするセーフティシステム製品を重点事業と位置づけ、グローバルで生産能力を強化している。今回の新工場の稼動により、ベトナムでの生産能力を今後4年間で増強し、エアバッグ部品は18年度の約1・5倍となる年産2500万個に、ハンドルは約1・7倍となる年産400万本に、それぞれ増やす予定にしている。
◆JSR
JSRは7月8日、米国連結子会社であるJSRマイクロの最先端半導体向け機能性洗浄剤の製造能力増強のため、米オレゴン州に新規工場の建設を開始したと発表した。投資金額は約100億円で、20年に稼働開始を予定している。近年、最先端の半導体製造プロセスの複雑化に伴い機能性洗浄剤の重要性が高まり、その需要も増加している。同社は、先進的な機能性洗浄剤による半導体材料事業のポートフォリオ拡大と顧客満足度の向上という観点から、オレゴン州に建設用地を取得し、新規工場を建設する。これにより、現地生産体制および品質保証体制を拡充し、高品質な製品を提供する。また、最先端半導体材料製造のさらなる拡張スペースを有しており、北米製造拠点として位置づけていく。
◆東レ
東レは7月16日、ハンガリーのニェルゲシュウイファル市において、リチウムイオン二次電池(LiB)用バッテリーセパレータフィルム(BSF)生産設備の新設を決定したと発表した。新たな生産設備は18年4月に設立した東レハンガリー(THU)に設置し、これにより同社グループ全体のBSF生産能力は年産約20%の増強となる。稼働開始は21年7月を予定している。同社は、BSFの生産設備に関して、日本の那須工場のほか、韓国にBSFの開発・製造・販売を行う東レバッテリーセパレータフィルム韓国(TBSK)、コーティング加工を行う東レBSFコーティング韓国(TBCK)を有し、それぞれ18年度から順次稼働を開始している。BSFの世界需要は、携帯型電子機器、定置用蓄電池など民生用途の堅調な拡大に加え、今後は電気自動車の普及拡大による車載用途での急激な拡大が見込まれている。特に欧州では、環境問題への意識の高まりから、環境対応車の普及は急速に進むと見られており、電池メーカー各社の進出も活発に行われている。同社は、フィルム事業においてBSF事業の拡大を最大の課題と位置づけている。環境負荷の低減に貢献する