謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年を振り返りますと、世界経済は、保護主義的な流れや、中東情勢など地政学的リスクもあり、先進国、新興諸国ともに景気回復に力強さを感じられない状況です。国内経済につきましては、個人消費などを含め緩やかに回復しているものの、輸出を中心に弱さが長引いているほか、増税後の景気は不透明感が強い現状です。
当社グループを取り巻く情勢については、天然ゴム価格相場及び石油系原材料価格は安定的に推移しましたが、競合他社との競争が激化していることに加えて、ユーロ及び新興国通貨が円高に進行したこともあり、厳しい状況で推移しました。このような情勢のもと、低燃費タイヤ・ハイパフォーマンスタイヤなどの高付加価値商品の更なる拡販の推進、欧米での販売力強化、「ダンロップ」ブランドの価値向上の取り組みに加えて、新市場・新分野に積極的に挑戦し、グループを挙げて事業の成長と収益力の向上を目指して様々な対策に取り組みました。
2020年の世界経済は、依然として保護主義的な流れや、中東情勢など地政学的リスクもあり、先進国、新興諸国ともに景気回復に力強さを感じられない状況です。このような世界の景気動向を受けて、日本の経済成長率についても伸びは緩やかになる見通しです。当社グループ事業に関係の深い自動車関連産業に目を向けると、大きな変革の動きが続き、業界の垣根を越えた連携も活発で、変化のスピードは増しています。
このような状況の中、本年の社長方針として次の3点を定めます。
第一の方針は「新中期計画の実現に向けて、強固な利益体質を確立しよう」です。
当社グループは世界中で事業活動を行うための基盤を整えてきました。今後は、その効果を刈り取れる体制・仕組みを作り、業績の回復に結びつけることが重要です。そのために必要なアクションを織り込んだ新中期計画を確実に実現していくため、社員一人ひとりが主体となり、基盤強化、課題改善に取り組み、企業体質を強化する基盤強化プロジェクトを立ち上げています。
第二の方針は「積極的なコミュニケーションにより、人間力・組織力を高めよう」です。
部門を超えたつながり、積極的なコミュニケーションにより、当社グループのリソースをフルに活用して成果に結び付けていきます。そのために、「ダイバーシティ&インクルージョン」と「デジタル化」を柱に働き方改革を推進していきます。多様な人、価値観や働き方を認め尊重し、一人ひとりが輝ける環境や風土を作ることで新しい発想や斬新なアイディアを生み出していきたいと考えます。また、デジタル技術の活用などによって、新たな時間を創出し、より付加価値の高い仕事や新たな挑戦に取り組みます。
第三の方針は「全員で知恵を絞り、将来に向けた取り組みを加速しよう」です。
価値の向上や利益の創出は現場で生み出されると考えています。ビジネスの現場で起こっているニーズや価値観の変化に対して、様々な工夫をして対応していくと同時に、将来の布石となる対策も進めなければなりません。当社グループは、従来から住友事業精神に沿った事業活動を行う中で、経済活動の展開と同時に社会的責任を果たしてきましたが、今後はさらにESGまたはSDGsといった言葉で表現される企業の社会的責任を果たすためには何をすべきかを常に考え、実行に移していきます。
これらの方針に基づき、当社は社会からの期待に応える真に価値ある企業グループを目指して邁進してまいります。