謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年暮れに発表された7~9月期の実質GDP改定値は上方修正されましたが個人消費は0・5%増で、前回消費増税前(2014年1~3月期)の2・0%増に比べると小幅な伸びにとどまりました。家計調査による履物購入足数も9月は前年比10%強の増加で駆け込み需要が発生しましたが、特需は月後半に集中したため7―9月の四半期では2%増となり、前回の8%から大幅な縮小でした。増税が履物需要期の4月ではなく、また夏の天候不順で小売店頭の商品切り替えが難しく、消費者の増税への備えがぎりぎりまで控えられたようです。
心配された増税後の影響について、政府は消費の落ち込みを防ぐ政策を打ち出しましたが10月の小売販売額は前年比7・1%減、家計の消費支出額も5・1%減と大きく落ち込みました。台風による小売店の休業等も影響し、履物購入においても暖冬予測などで低迷しましたが、秋冬物の本格的な投入と共に回復に向かい、増税直後は前年実績をやや下回る程度で、駆け込み需要が小さい分反動も弱かったという状況でした。
減速する世界経済に対して米中貿易交渉では歩み寄りが見られ、イギリスのEU離脱も方向が示されるのではないかと明るい材料も出てきました。さらに今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。訪日外国人の増加が見込まれるなか、観光庁によると日本での買い物に満足した大きな理由に、『品質が良い』、『日本製』が挙げられています。是非ともインバウンド需要に応えるためにもメイド・イン・ジャパンは良品であること、日本製であることを強く打ち出していただき、また海外製品であっても日本のメーカーが責任を持って製造、輸入販売していることを訴えていただきたいと存じます。
期待の東京オリンピック・パラリンピックは真夏の開催となり、選手、観客への猛暑の影響も心配されます。地球温暖化が進み自然の猛威も増しています。さらに環境問題では海洋プラスチックごみ対策が喫緊の課題となっています。企業の取り組み事例はありますが、履物業界でも貢献できる対策を模索していきたいと存じます。
最後に、今年一年が皆様にとって良い年になりますことを心よりお祈り申し上げまして年頭のご挨拶とさせていただきます。