【新年インタビュー】住友ゴム工業 山本悟社長

2020年01月06日

ゴムタイムス社

■ 新年インタビュー

グループ全体で基盤強化目指す

住友ゴム工業 山本悟社長


 

 昨年3月の社長就任後、目指すべき会社の姿や考えを直接伝えたいという思いから、昨年7~8月にかけて国内全7工場を2度にわたり訪問し、積極的に社員交流を図る住友ゴム工業の山本悟社長。タイヤ事業の戦略や今年の抱負などを山本社長に語ってもらった。

 ◆昨年を振り返って。

 社長就任後の活動を振り返ると、成果を上げられたプラスの要素がある一方、期待していたよりも成果が届かなかった要素もある。20年にさらにステップアップを図る気持ちを込め、19年は100点満点で70点を付けた。

 成果でいえば、まずタイヤ事業ではスマートタイヤコンセプトの具体的な進捗と成果がある。また、注力展開する欧米で販売拡大できたこともプラスだろう。さらに、海外を含めた自動車メーカーへ新車装着の拡大、ダンロップ、ファルケンの2ブランドの価値向上に向けた活動で一定の成果を上げることもできた。

 スポーツ事業では、10月に旗艦商品である「ゼクシオシリーズ」において、11代目のゴルフクラブを上市できたことが大きな成果だ。産業品事業では、制震事業の拡大があり、お客様の安心・安全のお役に立てる商品として認めていただけた。

 一方、利益面での挽回に至らなかったことは反省点の一つ。米中貿易摩擦などで、中国経済の減速が想定よりも長引き、販売が伸び悩んだことや、対ユーロ、新興国為替なども減益の要因となった。ただ、当社は既に中国を含めて様々な手を施している。今年は更なる基盤強化に取り組み、良い点数が残せるよう全社挙げて努力していく。

 ◆タイヤ事業の戦略について。

 タイヤ事業では、低燃費タイヤ・ハイパフォーマンスタイヤなどの高付加価値商品のさらなる拡販の推進、欧米での販売力強化、ダンロップブランドの価値向上の取り組みに加え、新市場・新分野に積極的に挑戦し、グループを挙げて事業の成長と収益力の向上を目指している。

 その中で、タイヤ事業は19年も様々な新商品を発売した。一つ目が昨年12月の東京モーターショーで発表した、低燃費タイヤ「エナセーブ・ネクストⅢ」だ。スマートタイヤコンセプトの主要技術を採用した第一弾商品で、従来品の「エナセーブ・ネクストⅡ」で向上させた耐摩耗性能を向上させつつ、性能持続技術と高機能バイオマス材料により、様々な性能向上を果たした低燃費タイヤとなっている。また、バイオマス素材であるセルロースナノファイバーを世界で初めてタイヤに採用するなど、低炭素社会の実現にも貢献する商品だ。

 2つ目が19年10月に発売したダンロップ「オールシーズン・マックスAS1」だ。新開発の超マルチコンパウンドを採用することで、ドライ路面、ウエット路面から雪道までさまざまな路面で確かなグリップ力を発揮する。幅広センターリブの採用により、ドライ路面を正確に捉え、夏タイヤ同等の操縦安定性を実現するとともに、優れたウエットブレーキ性能も実現した。

 ◆海外での取り組みは。

 海外市販用タイヤでは、欧米を中心にファルケンブランドの販売を順調に伸ばしてきた。特に、北米では4WD・SUV用タイヤのワイルドピー

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