【コラム連載シリーズ】世界のゴム事情45 ベトナムのゴム産業(後編) 加藤進一

2020年02月14日

ゴムタイムス社

 前回は、ベトナムの天然ゴムの生産量を解説しながら、ベトナムラバーグループ社(VRG)と加藤事務所の天然ゴム会社の合弁会社VRGJAPAN社を紹介しました。今回もベトナムのゴム事情を説明いたします。

 ベトナムでは、ゴム原材料は天然ゴムしかありません。それ以外のゴム原材料はすべて輸入品です。そのため、ベトナムには合成ゴム工場、カーボンブラック工場もまだありません。そもそもゴム製品を作る産業がなく、まだこれからなのです。

 また、ベトナムに進出している日系ゴム会社の多くは、ハノイ近郊にありますが、そのほとんどの会社が日本、タイ、その他海外から材料を持ち込んでゴム製品を生産し、検査し、そして海外に輸出しています。本格的な自動車生産(ノックダウン生産を除く)がまだ始まっていませんので、ベトナム国内にゴム部品の需要があまりないのです。

 ただし、タイヤ生産については結構盛んに行われております。ブリヂストンや横浜ゴムがタイヤを生産し輸出をしています。また現地系CASUMINA社、中国系SAILUN社、台湾系正新橡膠社、韓国系KUMHO社もタイヤ工場を構えています。

 最近では、今まで中国のタイヤ会社は中国から米国にタイヤを輸出していましたが、米中貿易戦争の結果、実質停止されています。そこで、中国のタイヤ会社はベトナムにタイヤ工場を建設し、そこから米国にタイヤ輸出するため、ベトナムに進出してきているのです。タイヤコードの工場もすでにあります。

 またゴム練り工場は、ハノイ近郊に

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