住友ゴム工業は1月16日、同社が群馬大学と共同研究する高度自動運転に対応したタイヤ周辺サービスの取組みについて説明すると共に、群馬大学の次世代モビリティ社会実装研究センター(CRANTS)を公開した。
同研究では、タイヤに関する異常を感知した際に、行動判断に必要な情報をCRANTSに設置された自動運転管制所に提供することで、完全自動運転が実現された高度自動運転の時代でも、安全な運行ができるようなタイヤサービスの構築を目指している。
既に、自動運転車のタイヤ空気圧データとCRANTS内に設置されている自動運転管制所との連携を確立しており、車両が無人の場合でも遠隔でタイヤ空気圧のモニタリングが可能となっており、今後は自動運転車におけるパンクなどを想定したタイヤトラブルの予知保全への貢献が見込まれている。
説明会の冒頭、オートモーティブシステム事業部の谷村一晴ソリューションビジネスリーダーは、「1月1日付の組織改正で、オートモーティブシステム事業部内にソリューションビジネスチームが新設された。時代のニーズ変化に対応したソリューションビジネスを更に加速させ、浸透、普及、拡販に努めていきたい」などと挨拶した。
共同研究の内容について説明したオートモーティブシステム事業部の西本尚弘ソリューションビジネスチーム課長代理は、「取得データの連携にブルートゥース規格を使用することにより、世界中で簡易に接続することが可能となった」と研究成果を示した。今後の方針については、「タイヤにトラブルがあった場合にどのように通知し、レスキューするかなどのサービス体制の整備がテーマとなる」と話した。
取得データの連携は、タイヤ内のリムに設置した直接式TPMS(空気圧監視システム)からブルートゥースの仕様の一つであるBLE(Bluetooth Low Energy)で自動運転車の車載システムに空気圧データを送信する。その後、車載システムからコネクテッド技術によりCRANTSの管制所へデータを送信し、管制所から自動運転の個々のタイヤ空気圧情報を管理画面でモニタリングすることで、連携が可能となる。
次世代モビリティ社会実装研究センターの 小木津武樹副センター長は、「自動運転になっても、道路と接する部分はタイヤとなり、大きくは変わらない。タイヤが健全な状態で保たれているかが、無人になっても重要となる。無人で動く移動サービスを更に安心安全なものにしていくためにも、住友ゴム工業との共同研究はなくてはならない取組みとなる」と話した。
同センターは既に、全国で36例程実証実験を実施しており、積極的に自動運転の実用化を推進している。