東レは1月27日、従来真球化が困難であった高融点ポリアミド(ポリアミド6、66)を簡便にマイクロレベルの真球粒子にする新しい技術を創出したと発表した。同技術により、高い耐熱性、強度を必要とする実用部品向けの造形物を3Dプリンターで実現することが期待できる。
ポリアミド粒子は、化粧品の滑剤や3Dプリンターの造形用材料として使用されており、その多くは、低融点ポリアミド(ポリアミド12)を用いた不定形状の粒子。3Dプリンターの造形物の高品質化のためには、流動性や均質充填性に優れる真球形状の粒子が適している。また、特に実用部品には、耐熱性や強度に優れる高融点ポリアミドの粒子が必要とされる。しかし、従来法では、高温での取り扱いが必要な高融点ポリアミドの真球化は困難で、真球粒子化技術の開発が課題となっていた。
同社は、長年の研究・技術開発で培ったポリアミドの重合技術をベースに研究を重ね、モノマーからポリアミドを重合すると同時に真球粒子を作製する新技術を創出した。同技術は、高温にも対応出来るため、低融点ポリアミドのポリアミド12に加え、高融点ポリアミドのポリアミド6やポリアミド66の真球粒子化が可能。さらに、平均粒径を数マイクロから数百マイクロの範囲で任意にコントロールでき、サイズの揃った粒子も作製可能。
今回開発したポリアミド6粒子を3Dプリンターの造形用材料に使用することで、造形物が高耐熱、高強度になることを確認しており、今後、自動車などの実用部品への適用を目指して、同社ではスケールアップ技術の確立を進めていく。
なお、同技術は、1月29日~31日に東京ビッグサイトで開催される「nano tech 2020(第19回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議)」に出展予定。
同社は今後も、「有機合成化学」「高分子化学」「バイオテクノロジー」そして「ナノテクノロジー」という同社のコア技術を駆使し、企業理念である「私たちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでいくとしている。