ダイセルは1月27日、環境にやさしい天然由来のプラスチック「酢酸セルロース」の海洋での生分解性を従来の2倍に向上させ、環境により配慮した新製品を開発したと発表した。
酢酸セルロースは、植物由来の「セルロース」と自然界に存在する「酢酸」を原料として製造される、生分解性を持った環境にやさしい素材。使用後の酢酸セルロースは、最終的に水と二酸化炭素に生分解される。土壌や廃棄物中だけでなく、海洋中でも分解される。分解速度は環境によるが、数カ月から数年。同社の技術は、分解速度の調整が可能となる。
酢酸セルロースは、プラスチック材料として様々な方法で加工することができる。包装容器や繊維、液晶保護用などのフィルム、化粧品などの原料として、すでに広く利用されている。
同社では、近年の環境配慮型製品への需要の高まりを受け、酢酸セルロースの強みをさらに生かした製品の開発を進めてきた。今回、より生分解しやすい分子構造を見出し、従来製品の品質を保ったまま、特に海洋での生分解速度をさらに高めた新製品を開発した。これまでの研究では、この新製品は従来品の2倍近い速度で分解されるというデータが得られている。
同社は従来から酢酸セルロースを製造しているが、生分解性をさらに高めた新製品の販売にも着手した。将来的には年間数千t以上の生産をめざしている。
一般的なプラスチックは、分解に数十年から数百年を要するとされるが、数カ月から数年で分解される酢酸セルロースを従来のプラスチックの代替として使うことで、海洋プラスチックごみ問題に対する解決策となり得る。同社は今後、新製品の用途開拓を進めていくとしている。