デンカは2月14日、アメリカ環境保護庁(以下EPA)が現在、10 年に行われたクロロプレンモノマーの毒性評価(統合リスク情報システム/IRIS)の見直しを進めていると発表した。同毒性評価に基づき15年12月にEPAにより公表されたNational Air Toxics Assessment(国家大気有害物質評価)において、ルイジアナ州ラプラスに所在するクロロプレンゴムの製造工場周辺が米国内で高い発がんリスクを有する地域とされた。この工場は、デュポン社が1969年より操業しており、15年11月に同社子会社デンカ・パフォーマンス・エラストマー社(以下DPE)がデュポン社から取得した。
同毒性評価について、19年9月23日付でEPAからルイジアナ州環境品質局(LDEQ)に出された書簡によると、DPEがEPAに提出した生理学的薬物動態(PBPK)モデルと呼ばれる最新の科学にもとづく評価手法をEPAが受け入れ、検証される見込み。同PBPKモデルの試算によれば、10年の毒性評価により導き出されたクロロプレンモノマーの推奨値としての70年間の平均暴露濃度「0・2μg/㎥以下」に比べて、130倍高い濃度になる。
またEPAからLDEQへの書簡では、推奨値とされた70年間の平均暴露濃度「0・2μg/㎥」は、大気中のクロロプレンの規制値として設定するためのものではないことも確認されている。IRISは実際の暴露にもとづく評価ではなく、また環境濃度基準として規制目的に直接使用されるものではないことを明言している。
現在EPAにて行われているPBPKモデルの評価が終了次第、外部の専門家による査読プロセスに移行される予定であり、EPAによる毒性評価の見直しにはしばらく時間を要する見込み。
DPEは自発的に 3500万米ドル以上を大気への排出削減技術に投資し、同工場から大気に放出されるクロロプレンモノマーの量を14 年との比較で 18年に約 85%削減している。DPE は引き続き、州および連邦規制当局と協力して化学物質に関する最善の科学を追求するとともに、環境負荷低減に努めていく。