東海カーボンは2月17日、中期経営計画にローリング方式を導入し、昨年2月に発表した3ヵ年計画を事業環境の変化や業績の状況を踏まえ見直し、2022年度を最終年度とする3ヵ年の新中期経営計画「T―2022」を策定したと発表した。
見直しの背景として同社は、米中貿易摩擦の長期化と欧州経済の減速で鉄鋼生産、自動車生産、半導体市場等の成長が鈍化し、2018年度にひっ迫していた黒鉛電極需要が昨年より緩和したことを挙げ、新中計では販売数量・価格の前提を現状に合わせ見直した。また、世界の電炉鋼生産の成長を見込み、電極余剰在庫が解消される今期下期以降に同社事業が成長軌道に回帰することも新中計で想定した。
新中計の基本方針は、前中計同様、①収益基盤の強化、②成長機会の拡大、③連結ガバナンス体制構築とした。そして、2022年12月期の数値目標を①売上高3000億円、②営業利益540億円、③ROS18%、④EBITDA820億円とし、カーボンブラック事業については売上高1000億円、営業利益120億円を目標値に掲げた。
重点施策は、前中計をベースに軌道修正し、①電極事業の安定的キャッシュフローの創出、②カーボンブラック事業のシナジー創出、③成長市場への積極投資、④次世代商品の開発、⑤連結ガバナンス体制の構築・強化の5点を新たに掲げた。
このうち、カーボンブラック事業のシナジー創出については、米中貿易摩擦の影響でアジア地域のカーボンブラックの需要の伸びが足元で不透明であることから、グループ内の技術共有による徹底したコスト削減と効率化を追求するほか、新規開発品の創出や高付加価値商品の比率増加により、安定した利益獲得に取り組むとした。
前中計で掲げた「カーボンブラック内外拠点の一体化運営」については、①3拠点の技術交流開始、②北米拠点の原料油対応力のグループ内展開の2つを19年度に実施し、今後も継続して取り組む。
また、資本配分については、新中計の3年間に生み出す累計1640億円の営業キャッシュフローを、設備更新と環境投資に570億円、成長投資に150億円活用するほか、将来の成長に向けた自動車、エレクトロニクス分野におけるM&Aの方針を継続し、戦略投資にも充てていく。
同社は今後も中期経営計画をローリング方式で見直していくことにしている。