胎児モニタリング装置に採用 積水化成品のゲル電極

2020年02月28日

ゴムタイムス社

 積水化成品工業は2月26日、「テクノゲル」を用いた電極を開発・製作し、アトムメディカルの画期的胎児モニタリング装置「アイリスモニタ」の商品化に貢献したと発表した。

 テクノゲルは、その内部に水や保湿剤などの溶媒や電解質を保持させた、肌にやさしく安全性に優れたゲル素材で、生体電極の部材として皮膚とのインターフェイスに広く採用されている。

 胎児の状態をより早く、より詳しく捉え、安心してお産ができるよう装置開発の観点から貢献すべく、同社ではアイリスモニタの電極部分における開発に、2008年以降10年以上携わってきた。その後、粘着力や導電性といった物性のカスタマイズ力だけでなく、同社の製品設計や加工技術力も認められ、専用電極の採用に至っている。

 専用電極は、母体の腹部の凹凸に密接に追従し、動いても剥がれることなく電極と皮膚をつなぎながら、かつ妊婦に不快感や違和感を与えないようなハイドロゲルを使用することで、導電インクを印刷したフィルムにゲルを貼付した構造を実現。これにより、電極厚みの低減や肌への高い追従性を実現したほか、コネクタを電極へ固定することで母体の動きによる波形の揺らぎ(ノイズ)を抑制するため、安定計測が可能となった。そのほか、ISO10993に基づく生体適合性評価を実施した安全性の高いゲルの使用に加え、表面材に通気性の良い材質を選択しているため、貼付部のムレを軽減する肌へ優しい製品に仕上がった。

 同社グループは、CSR宣言「人と環境を大切に夢をふくらませる積水化成品グループ」の趣旨に基づき、事業活動を通じた社会貢献を実践し、グローバルに社会の持続的発展を推進できる企業を目指している。

 専用電極の開発はその一例であり、周産期医療において、早産児を救う一助となるべく、開発に参画した。同社はこれからも、さまざまな分野でソリューション提案を行い、事業を通じた社会貢献を実践していく。

安定計測が可能な心電電極の使用例

安定計測が可能な心電電極の使用例

母体と胎児の心電信号

母体と胎児の心電信号

 

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